実はお前には双子の妹がいたんだよ。
目の前の老人がそういった。
あぁ、そうだこの人は僕のお爺さんだ。
白いひげを蓄えた品のいい優しそうなお爺さんだ。
お爺さんは言った。
「今から逢いに行こう。」
扉を開けたら薄暗い場所に出た。
そこは工場だったのか
それとも昔何かの研究施設だったのか
ボロボロの廃墟となった建物がそこにはあった。
「ここはどこ?妹はどこにいるの?」
僕は聞いた。
お爺さんは悲しそうな目をしていった。
「そこに眠っているよ。」
指をさした方向を見ると一輪の白い花が咲いていた。
後ろの廃墟とは対照的で、とてもきれいだった。
その花を見て僕は思う。
「ああ、妹はもういないんだ。」
でも、どうして?どうしてこうなったの?
お爺さんのほうを振り向く。
「お前の妹はとても賢い子だった」
お爺さんは話し始める。
「お前の両親たちは病気がちなお前を私に預け、妹のほうを連れていった。
妹は自分の興味のもつものを勉強することになった。
妹のしていた勉強は、国の偉い人たちの目にとまった。」
ソレガハジマリダッタ
お爺さんは話を続けた。
僕の妹はその時幼くて、自分のしている研究が楽しくて楽しくてしょうがなかった。それに、周りの大人たちも優しいし、必要なものも何でもそろえてくれた。
デモアルヒキヅイタンダ
自分が今まで勉強してきたことが、「せんそう」に使われていたこと。
自分のしてきたことが「ひとをころす」ために使われていたこと。
そして妹は自分から眠りについた。
この工場は妹が眠りについてから使われなくなった。
そうだ、僕は忘れていた。小さいころ僕にはとても仲のいい妹がいたことを。
いつも一緒にいた妹。
どうして忘れていたんだろう。
僕は妹にもう会えないみたいだ。
妹がつらい時、僕は何もしてあげることができなかったんだ。
双子なのに…一緒にいてあげられなかった。
僕は泣いた、一輪の白い花の前で泣いた。
「ごめんね」
「泣かないで」
声が聞こえた。顔をあげるとそこに白い光に包まれて妹がたっていた。
「思いだしてくれてありがとう、一緒にいたかったと思ってくれてありがとう」
妹が膝で立つ僕を抱きしめてくれた。僕は泣き続ける。
そんな僕に彼女は優しく頭をなでてくれる。
暖かい…とても心地いいな・・・・
そうして・・・・・
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