観賞魚
水槽の底に差し込んだ光
笑い声の柱に手を伸ばした
皮膚に突き刺さる蒸し暑い空気
視線を戻し戻る水の世界
踊ってなくちゃ私の価値は無い
同情は要らない私が決めた
ねぇ綺麗でしょ色とりどりの鰭
貴方が見てくれなきゃ白と同じ
らららららららら
人柱?それはちょっと言い過ぎね
らららららららら
それでも犠牲払う覚悟はした
永遠に
今日も泡のように弾け消えゆく音達
波に流されぬ単調さで踊り狂う
毎日同じガラスの板を覗き込んで
所詮一握りの光の粒子であると
知ってしまった 頭の隅
水面付近漂い続けるハンターに
飲み込まれ海底に埋もれるのも運命か
砂浜に横たわる貝の夢ばかり見て
勝ち目ない勝負の計画ばかりを練った
井戸の中
水槽の壁を覗き込む瞳
聞き耳立てる観客がお一人
ドームに響くパイプ椅子引く音
しかし水中の指揮者に耳は無し
歌って居ても傷は開いてくわ
手当は要らない寧ろ罰が要る
ねぇ教えてよ私の良い所
すぐ比べて崩れる脆い精神
らららららららら
頭の中は既にゴミ屋敷ね
らららららららら
片付けられる時間は過ぎ去った
刹那に
明日も惰眠の中でばかり走り廻って
強欲と嫉妬搔き分けた餌への道
毎回同じ舞台上で創り上げても
所詮一部の人の事しか救えないと
感じ取った 心の奥
必死に尾ひれ震わせ飛沫あげて居ても
既に頬には石の感触が伝わった
疲れ切った指の表面は血豆だらけ
一度入ったひび割れの歩みは封じない
陶器の家
図鑑の表紙やぬいぐるみにすらなれずに
喫茶店の隅置かれるだけの人生か
グリルの上に逃げる権利も与えられず
溺れ塵として搔き消える事も出来ない
この体 酷使して
泳ぎ続けて居なけりゃ虚無に追いつかれる
円環の創作の呼吸を辞めさせるな
結局らしくなくても上を向くしか無い
背びれの上昇する感覚を嚙み締めた
観賞魚
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