この話は、遠い昔の話。
「妾は遊園地とやらに行きたいのじゃ〜!」
「ダメです!リリアンヌ様は忙しいのですよ!」
今日も平和な喧嘩が始まった。
その時、部屋にノックの音が鳴った。
ドアを開けると、「やぁアレン!」と抱きしめられた。
きっとこの挨拶は、と思い上を向くとやはりカイル兄様だった。
「カイル兄様!」リリアンヌのキラキラしたこえがなり響く。
そしてカイル兄様も「リリアンヌ!」と言い、今度はリリアンヌを抱きしめる。
いつもの微笑ましい光景だ。
リリアンヌは何か思いついたかのように上を向く。
嫌な予感がする。
「カイル兄様!遊園地とやらに連れて行ってはくれないか!」
やはりか!そして多分カイル兄様の答えは…
「もっちろん!いいぞ!」
やっっぱり!はぁ…これだからカイル兄様はリリアンヌにあまり会わせてはいけないのだ。
「これならいいだろう!アレン!カイル兄様が言っているのだから!」
あぁそんなキラキラな目で見ないで、僕はキラキラな目に弱いんだよ〜 あぁもういいや…
「はぁ…わかりました」「やったー」
「ですが万が一、億が一のために私が護衛に付きます。」
「わかったのじゃ!アレンは一番信用できるからな。」
素直なリリアンヌ可愛いなぁ。
「アレン以外は、雑魚じゃからな。」
前言撤回。素直過ぎるのもよくないな。
「じゃあ着替えてくるのじゃ!」
「何故ですか?貸し切りにしてドレスでいけばいいじゃないですか。」
「今日は、庶民の服を着て“普通の女の子”として遊びたいのじゃ。」
可愛いなぁ。
「わかりました。では、庶民の服で一番高い物を用意します。」
「うむ。わかったのじゃ!」
機嫌が良くなったのか、スキップしながらクローゼットルームに行った。
5分後…
「アレン〜!カイル兄様〜!」
「早かったですね。リリアンヌさ..ま?」
「どうかしたのか?」
今回リリアンヌが選んだのは、ピンク色のワンピースだった。
何故驚いたかと言うと、あの服はまだリリアンヌの記憶の中に僕が“双子”としていた時に僕が選んだ物だから。
レースとリボンがたくさん付いていて、白とピンクのチューリップが満開に咲いていると思わせるような刺繍。
小さい時に二人で行ったチューリップ畑ようで、リリアンヌに着て欲しかったを覚えている。
あぁ、まだ持っていたのか…嬉しいなぁ…
「おーリリアンヌ可愛いな!そのワンピース!」
「ほんとうか!このワンピースずっとあるんじゃ。で、こないだクローゼットルームで見つけたが、サイズが小さくなっていたので、捨てようかなぁ思ったのだが捨ててはいけない気がしてサイズ調整をしてもらったのじゃ!可愛いじゃろ?」
「僕があげたのに…」「何か言ったか?アレン」
覚えてないか…
「いいえ。とても可愛いですね。好きになってしまいそうです。」
「はぁ⁉︎」やばっ!
「なにを言っておるのじゃお前さんは⁉︎」
リリアンヌの顔が真っ赤だ。
「アレン顔真っ赤だぞー」カイル兄様が「お前達付き合っているのか」とでも言いたいげな顔をしている。いじわるだ。
「すいません!リリアンヌ様!召使いの分際で失礼なことを!」殺される‼︎
「別に良いのじゃ…」やっぱり…ってえっ。
「妾は、お前さんのことは…
「リリアンヌ様!カイル様!アレン様!馬車の御用意が出来ました!」
リリアンヌの声をさえぎり、低級召使いが馬車の用意が出来た事を知らせにきた。
「わかったのじゃ!ほら、いくぞ。」
「あっ…わ、わかりました!」
リリアンヌは、なんて言おうとしたんだろう…
遊園地までは、馬車で40分くらいの、まだ新しめの遊園地。
「来たのじゃ!遊園地!まずはあれ!あの高いやつ」「あれは、ジェットコースターというらしいですよ。」「乗るのじゃ!」「列に並びましょう。」「列に並ぶ?」「はい。順番を待つんです。」「ほぅ…列とやらに並ぶのは、初めてじゃ。」
10分後…
「遅い!どうしてこんなに遅いのじゃ!」「まぁまぁ、落ち着いて下さい!リリアンヌさ..んぐ」
「しぃー!妾をリリアンヌ様と呼ぶな!」「ハイ!わかりました!では、なんと呼べば?」「んー」「では、“リン”はどうでしょう」「うん!可愛い名じゃな!」「気に入ってくださり恐縮です。」「あと、今日限り敬語はなしな!アレン」
「次の方どうぞ〜」「あっ、いくぞアレン!」
「は、ハイ!」
3分後…
「楽しかったー!ね、アレン」「あの…言葉づかいどうしたんですか..あっどうしたんだ?」
「言ったでしょ。今日だけは、“普通の女の子”だって。」可愛い…はっ何を考えているのだ!
「アレン?大丈夫か?」「カイル様!大丈夫でございます。」こんな感じで一日が過ぎようとしていました。
「お腹減ったアレン!」「わかった。カイル様と買ってくるね。」「うん!じゃあ私、ドリンク買ってくるね!」「ありがとう。リン」
1分後…
「買い終わる早かったね。」「そうですね。カイル様。」「ん、あれって…リン?」
....「いいじゃん、一緒に遊ぼうよ〜」「いやだ」
「ほら、行こうよー」「ちょっと離し…
「お前らなにをしているんだ。」「は?誰だよお前。」「僕は、この人の…召使いだ」「は?意味がわから..ぎゃぁ⁉︎」「おい、いい加減にしろ…わぁ⁉︎」「大丈夫か?リリアンヌ‼︎」「カイル兄様」「リリアンヌにカイル兄様、召使いってコイツら王族⁉︎」「おい。」「ヒィ‼︎」「お前ら低級民のくせに妾に生意気な口ききやがって…潰すぞ!」
「す、すいませんでした‼︎に、逃げるぞ‼︎」
「リリアンヌ!大丈夫か⁉︎」「アレン…怖かった〜」「リリアンヌ…もう大丈夫。よしよし」
「アレン、王女に向かってよしよしは、失礼だぞー」「あっすいませ…「いい。いいのじゃ。アレンはいい。」「リリアンヌ…」
僕達はしばらく、そのままでいた。
あたたかく。ただあたたかく…なつかしく…
次の日…
「リリアンヌ様。朝でございます。…リリアンヌ様?」
ガチャ、キィ…
「リリアンヌさ…「アレン…」ドキ。
「アレン、ずっと一緒だよ。またチューリップ見よう。」えっ、記憶が…戻った?
そんなわけないか。寝言だし。
チュ…「リリアンヌ、大好きだよ」
バタン。
「わたしも好きだぞ、アレン。」
はっ…ゆめ…
「おい、リリアンヌ=ルシフェン=ドートゥリシュ時間だ。」「わかった」
そう、これは…
「アレンー!」「あら、おやつの時間だわ。」
遠い昔の話。 ジャキン。

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幸せの物語

ある日、リリアンヌは突然、遊園地に行きたいと言い出しました。
ダメというアレンと喧嘩していると、カイルが部屋に入ってきて、喧嘩の理由を言うと、遊園地に行こうというのです。
そして、遊園地に行くことになりました。
これが“幸せの物語”の始まり…

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投稿日:2018/09/09 19:28:45

文字数:2,657文字

カテゴリ:その他

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