狼とはぐれて





縫い込められて開かなくなった手を
そっと労わる狼の舌
長く伸びた影と見比べていたら
いつしか私は小さくなっていた

風を孕んだ気球に揺られて
本も靴も旅人になった
詩人であれとは言わないが
よくもまぁここまで汚い言葉ばかり覚えていられたもんだ

適当が過ぎて見失った 夜間の演習はここまで
「良い」と言った嘘はまだ モラトリアムを継続中
待ちぼうけだとは知らなかった 天使の空想もここまで
目をつむって夜を待った 最大の過ち

「本当は林檎が好きなのだ」
そっと囁く狼の声
「群れとはぐれて彷徨っていたら
いつしか僕は大きくなっていた」

森の中なんて見渡せないと
煙を吐いた戦闘機
大きな空にはなれないが
せめてあの下まで落ちてく間だけは憚らずに笑わせて

采配のせいで見失った 王様の行方もここまで
距離をとった白と黒 終わりの時を検証中
扉の前まで書きあがった 少女の冒険もここまで
狼とはぐれて もう 家の中で一人きり

私と居てとは言わないが

歩き去ってから時が経った 窓に縋るのもここまで
首を振った嘘はまだ モラトリアムを継続中
「森から帰った者は無い」と 皆の警告もそこまで
いつか見た花の香を 確かめようと勇んだけど
扉の前まで書きあがった 少女の冒険もここまで
狼とはぐれて もう 動くのは暖炉の火だけ
握った手 開けたって 家の中で 一人きり

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

狼とはぐれて 歌詞

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投稿日:2012/06/04 21:30:40

文字数:595文字

カテゴリ:歌詞

ブクマつながり

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