真夜中の温室で
死んだような夜に
遠く聞こえる
ああ
んん
低い声
高い声
真夜中の温室で伝う蜜
私の体を巡るこの液体が
母でなく
父でもなく
別の何かで満たされたなら
きっと
私の心は幸福なのだわ
恨みがましい赤い花
蒸れた死臭で肺は満たされ
まっすぐ歪んだ暗い春
(ああ何て白々しい真実)
「母と父の愛に恵まれ」
(ああ何てどす黒い誠実)
真夜中の温室で育まれた生命は
とても淫靡でふしだらで
生命を弄ぶことに快楽を覚え
輪廻の生臭さに恍惚とする
ああ
ここが私の棺なのだわ
真夜中の温室で
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