王子の16歳を祝う祭りは船の上で行われていた。いくつもの旗が翻り、夜空に花火が上がり、それはそれは見事なものだった。
 ところが、突然やってきた嵐により王子たちの船は砕け、海に投げ出されてしまう。
 意識を失った王子は(人魚姫に助けられ)、隣の国の浜辺へと運ばれた。次に目覚めた時王子の近くにいたのは、修道女の姿をした隣の国の姫君。王子はすっかり彼女が自分を救ってくれたものだと思い、またその美しさに一目ぼれをする。
 王子はその姫君を(花嫁修業とは知らず)修道女だと思いこみ、かなわぬ恋だとひとり悶々とした日々をすごす。そんなある朝、王子は城の階段に倒れている裸の娘(=人魚姫)を見つけた。
 何を聞いても物を話せない彼女を哀れに思い、王子は城に連れ帰った。拾った娘は夜の席で、とても美しい踊りを見せ、王子は彼女を気に入って、そばに仕えさせることにした。
 傍にいるうちに、王子はだんだんと人魚姫を好きになる。だが、その心に彼女を妃にしようという考えは浮かばない。王子は娘を自分を助けてくれた修道女とよく似ていると思い、娘を神が寄こしてくれたものだと思っていたからだ。
 それからしばらくして、王子のお妃選びが始まった。しかし、王子は誰もお妃にするつもりはないという。「もしもどうしても誰か一人を決めなければならないのなら、あの修道女(隣の国の姫)によく似ているお前を妃にしよう」と人魚姫に語った。
 ところが、隣の国の姫君は花嫁修業のために修道院に預けられていたあの女性だった。王子は幸運の女神が使わしてくれた人魚姫が、この出会いを引き寄せてくれたのだと大喜び。自分のことを大切に思っていてくれている人魚姫も当然、これを喜んでくれるものだと思っていた。
 ところが結婚式の宴の朝に、人魚姫は姿を消してしまった。王子とお妃は人魚姫を探したが、どこにも姿は無い。王子はあきらめきれず、国に帰ってからも朝な夕なに海を探したが、ついぞその姿を見出すことはできなかった。

※重要なセリフ
 隣の国へゆく前に
【(前略)そのうち、どうしてもおよめえらびをしなければならなくなったら、ぼくはいっそおまえをえらぶよ。口はきけないかわり、ものをいう目をもっている、ひろいむすめのおまえをね。」】

 隣の国の姫君と再会して。
【「ああ、ぼくはあんまり幸福すぎるよ。(中略)最上の望みが、しょせん望んでもむだだとあきらめていたそれが、みごとかなったのだもの、おまえ、ぼくの幸福をよろこんでくれるだろう、だっておまえは、どのだれにもまさって、ぼくのことをしんみにおもっていてくれたのだもの。」】
  ともに引用元:青空文庫「人魚のひいさま」邦訳・楠山 正雄


人魚姫が初めて海の上に上がった日=人魚姫の誕生日
王子の誕生日=船の上で祭りがおこなわれた日
つまり、王子と人魚姫の誕生日は同じ。
人魚姫は15歳、王子は16歳。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

人魚姫 王子side 覚書

人魚姫の王子側の記述を追ったものです。
さまざまな本を参考にしたため、必ずしも原作に忠実かはわかりません。

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投稿日:2010/01/26 00:48:26

文字数:1,206文字

カテゴリ:その他

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