或る夏、腕を伸ばすような朝焼け
クラスがグループの中で聞いた噂
耳打つ男子の声 「あの男子、歌エナイ。」
男子の指さし、机の向こうに
ポツリと伏せて眠る俺がいて
首掴んで男子の一人が「明日カラオケ行こうな」

好奇心で聞き入るDQN
「言っただろ、出るはずない」と
軋むソファー 揺れるDQNの心
誰も後悔してくれないや

「私、音痴なんかじゃない。」って
マイクを握って
そっと強がって歌っても
過ぎゆく歌詞と共に
止まったDQN泡を吹いて
また声枯らして今日が終わって
「明日にまた行こう」って言っても
「俺はもうごめんだ。」

季節を重ねて別のDQN 興味
流れる「やめとけ」 「悪質な悪戯のよう」
迷い込んできた女子のグループ
「あなたも俺の声聞くの?」
「肩を撫でようとした右手は虚しく
「するり抜け、頬を掻いた

「声が死んでいたのかな」って
膝を抱えて 赤の糸を手繰っても
些細な失恋事や彼女の顔も思い出せなくて
遠くでいちゃりだすさっきまでのDQNや
咲いた打ち上げ花火見て
白目、音を誤魔化す

夏の終わり 過ぎ去った
DQNたちの心も壊れ
漂っては潰れるまだ知らない奴と一緒に
姿は消え、やがて嫌われる

私はただの一夏の音痴だった
16年前に生まれ
今もなお健全に生き続ける
音痴は「ブレイカー」になった

誰も我慢してはくれなかったけれど
記憶の片隅にある、かつての辛い日々の
一部となって増え続ける

もう切らした十八番の歌
歌唱力も亡き
夏の匂いだけ残るカラオケに
二度とはもうこないだろう

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

カラオケボックスの音痴の少年【幽霊屋敷の首吊り少女替え歌】

誰か歌ってくれ。

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投稿日:2013/09/13 23:52:19

文字数:664文字

カテゴリ:歌詞

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