「ASH」

BPM=190

未だ灰白の夢を
忘れられない
藍色に溶けた窓の外
晦む部屋の中

痛みも懊悩も
どうせ消えるなら

「何を恐れてるの？」
「逸脱する事を」
「それを教えたのは？」
「掴み所のない”世界”でしょうか」

「温い諦観だね」
「諦観など温いもの」
「蓋し言い訳かな」
「お喋りはこれくらいで。グリムリーパー」

未だ灰白の夢は
薄れゆかない
飴色に焼けた窓の外
眩む部屋の中

怒りも慟哭も
何れ消えるなら

「厭わしい虚空です」
「飾りもしない癖に」
「飾ったところで、虚空が虚飾に
　ずれ込むだけでしょう」

「諄い諦観だね」
「諦観など諄いもの」
「矢張り言い訳かな」
「お喋りはこれくらいで。グリムリーパー」

身を守る為　干反る天邪鬼
”弱い自分”は愛せない、と

「温くても諄くても、仮令言い訳でも、
　強くある為には、泣かない為には
　必要だったんです」
「ひとつ訊いていいかい」
「どうぞ、グリムリーパー」
「泣かなくなったのは
　強くなった証明、なのかな。如何だい」

「如何でもいいでしょう」
「つれない応えだね」
「虚の中には、つれるものなど抑無いんですよ。
　そろそろ終わらせよう。
　無意味な挨拶も、
　下らない茶番も、
　諦観ごと灰にして」

「お喋りはこれくらいで、それじゃあ」