
揺蕩う感情
絡まる愛情
貴方に溺れてく
想いは縺れて
泪が零れる
流れてゆく流れてゆく
貴方の為流れてく
相容れない 二人の私は
互い見つめ合う
希薄で無力で
白痴で透明
貴方に溺れてく
身体は気怠く
心は蕩ける
崩れてゆく 崩れてゆく
私の空崩れてく
深く暗い貴方の瞳は
何を見つめるの?
【1】
離れたくない自分と逃れたい自分が鬩ぎ合う。膝を抱え泣きじゃくる私を冷たく見下すもう一人の私。ブルーホールの底にも似たこの現実で思うのは貴方の声と、吐息と、重さ。ただそれだけあればどんなに寒くても生きることができた。
【2】
彼は偶に「歪な影が僕を付けて来る。」と私に話してくれた。物陰や隙間に潜み、ニヤニヤと嫌らしい笑みを向けてヒソヒソと何かを囁くのだという。その影をひっそりと横目で観察するとキリキリと螺を巻く様な音がして、クルクルと首が回ったかと思えば、土留色の翅が生えてヒラヒラと宇宙を舞うこともあったという。最初は冗談かと思ったけれど、あまりにも何度も真剣に話すものだからいよいよ心配になった。周りの人間はあまり彼に関わろうとしなかったので私が守らねばと思い心を磨り減らしてみたものの、彼の憤りが消え去ることもなくただただ空の月が欠けてゆくだけだった。でもそれも仕方の無いこと。そう、言い聞かせていた。
【3】
崩れてゆく世界。小さくなっていく自我。私に私の視線が突き刺さる。今さら独りでこの地を発つのは恐怖でしかなく、どうしてこうなったのだろうという疑問は私の肩に重く伸し掛る。凍える私の耳には今、あの歪な影の囁きだけが聞こえていた。ただ静かに。そっと。
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