後に英雄となる少年の幼馴染の少女。彼女は後の魔女だった。

幼い頃聞いた昔話。
お姫様をさらった悪いドラゴンは、王子様に倒されて、お姫様と王子様は結ばれる。
私はいつも釈然としなかった。

なぜ悪と善が存在するの?そんなの、一方的な価値観だわ。
なぜ悪いと決め付けるの?事情ぐらい聞いてあげたっていいじゃない。

私はアナタにも釈然としなかった。

なぜいつも光ばかりを求めるの?闇があるからこその光、光があるからこその闇じゃない。
なぜいつも正論ばかり振りかざすの?アナタには感情が無いとでもいうの。

なぜいつも私を見てくれないの?こんなにそばにいるのに。

なぜいつも私をおいていってしまうの?こんなに愛しているのに。


伝わることの無かった愛情は、歳月に色褪せることなく、むしろ激情を増す。


光を求めるというのなら、私が闇になってあげる。
正論だけが全てじゃないと、私が教えてあげる。

私だけを見つめさせてあげる。私のことで頭も心もいっぱいに。

おいていくというのなら、捕まえる。どこにも行かせはしない。

永遠に。


愛しているわ。

私の全てを捧げる。アナタに。


魔女は、英雄の手にかかる。
けれど魔女はとても幸せそうな、満たされた様な微笑みを浮かべながら冷たくなった。
少年は、少女を忘れる事が出来なくなった。

少女は少年の心にいつまでも生きる。

英雄は、本当に魔女に勝ったのかしら?
捻じ曲がった、純粋な想い。
後に英雄となった少年。幼馴染の少女は後の魔女。

キミはいつも優しかった。
キミはいつもまっすぐだった。

キミはいつも賢かった。

いつも公平で。

慈悲深くて。


いつも僕のそばにいてくれた。
会えなくても心はいつも傍に。

ねぇ、どうして?

おかえりなさいと言ってくれた
泣きながら叱ってくれた

大好きよと笑ってくれた

そんなキミはもういないの?

そんなに辛そうな顔をして
泣くように笑いながら呪いを叫ぶ

それでもキミは僕にとってかけがえの無い存在

だから誰にも触れさせない

誰にもキミを傷つけさせない


キミを誰にも渡しはしない


少年は、少女を葬った。
少女の死に顔はとても安らかで、微笑んでいるようにすら見えた。
少年と共に生きていたあの頃のように

少年は少女を忘れない。

僕は英雄なんかじゃないよ。
純朴すぎた、故の過ち。
アナタは私のもの。
私はアナタのもの。

僕はキミのもの。
キミは僕のもの。

永遠に。
永遠に。

誰も知ることは許されない。
互いすらも知ることは無い。
混じりけの無い、愛。


ねぇ、誓うよ。
僕は全てに平等な愛を。
全てのものを慈しもう。

だけど


唯、一つ
英雄の至高の愛は魔女のみへと捧げられ続ける。
魔女の愛が、英雄にのみ捧げられたのと同じように。

命尽きようとも
英雄と魔女を皆が忘れても
世界が終わっても


互いを支配するのは互いだけ。


でもそれは

誰も知ることは許されない。
互いすらも知ることは無い。

純粋な純情は
暖かに煌いて
悲しいほどに愚かしく
痛いほどに愛おしい

ねぇ、大好き。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

魔女と英雄-斜め後ろからみる童話-

純愛を書きたかったのにむしろ悲恋???
てかヤンデレ系?

なんでしょう。
幸せ1000%☆な日常送りたいです。はい。

閲覧数:148

投稿日:2010/11/17 21:44:10

文字数:1,319文字

カテゴリ:その他

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