それはきっと昔の話
僕が君を泣かせた話
あれはいつかの夕焼け空
君と旅立つ さいごの夜
茹だるような夏は去り、伸びた影は細く遠く
少し揺れただけで君は風にさらわれそうな
弱くはないけど いつか消えてしまうような
儚さだった ああ…
光に燃える身体が嫌いだと言ったね
「幸せなことじゃないか」と言う僕に嫌そうな顔をした
暮れても消えない僕を羨んだ
君が哀しそうな眼を 笑う 独り
くれても癒えない心を蝕んだ
ふと疎ましそうに 歯を鳴らす 故に
現れて拐われて 黒を見つめ
干からびて月に紛れ 蔑む背を見て
虚空を歌う 君はまだ 明けない夜を望んでいる
僕に見えない光を君は知っている
その瞳に映るものと同じ景色が
僕にも見えたらって、祈ったんだ
二人で ああ…そうか、って。
笑って 君は 涙を散らす
まるで生まれたときの空気を吸ったみたい
肌に降り注ぐ柔らかな甘い雫を
透きとおった君の声が告げる
これが君とのさいごの夜だ
明日は二人で朝を迎えよう
空に解けよう
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