高天原からやってきた
金色のウルカに
会釈を返して立ち去った
ある日の昼下がり
笹舟に揺られて海から流る
金色のナニカが口開く
「私は高天原から遣わされ
この地に降り立ったウルカだ」と言う
それを聞いた家の者
「ウルカ様だ。祀れ」
だから仲間を集め長き旅に向かう
金色のウルカがね
どこにいるかなんてわからないから
どこにでも祀れるよう
国じゅうに話をして呑み歩く
おつまみにウルカを嗜み
酒をちびちびと呑んで千鳥足でも
飲兵衛たちの祭神のウルカ様を広めよう
酔いどれのオヤジが難癖をつけ
猿と烏に威嚇され
蛇と女将は こんにちは
鹿の行先に 導かれる
餞に渡された榊を手に踊る
いつかウルカがきっと
ここに来ると信じ
金色のウルカの
伝説はいつしか神話になり
どこにでも祀られ始め
僕たちの旅はここで一区切り
この旅の終わり一夢の果てで
見上げた星を道標に
遠い遠い故郷に帰るために呑み歩く
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