春戯花風
早々に訪れた君が魅せる白昼の夢
瞬きも許されぬ程の刹那の舞
(ほらまた逢えたね)君はそう言って笑った気がした
君がくれた種は未だに僕の中で息づいたまま
今年もこの季節を迎えた
春の匂いにむせ返える涙花つまりは荒れる木々
掻き乱す髪渇き果てた肌に爪を立てる
僅かな憂いさえ残さないように解き放て
魂の一欠片
眠れない夜は常に君を感じていた
徐々にその気配が薄れても
嗚呼風が吹いた
また爆ぜて雑ざり拡がる
春の嵐に飲み込まれ君が魅せる最終の夢
心を乱す程の荒くも儚い舞
絡まる幾千の粒子が躰中を侵したなら
溢れ出る液という液を止める術を持たぬまま(ほら)
今(また)何度目かの別れの刻を(君と)迎えようとしているのに(いつも)
君は変わらずその(眼に)笑みを(涙を)浮かべたまま言った(浮かべるから言った)
「また春に逢いましょう、これからもずっと。」
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