畳の縁を杖にして
街の景色が持ち上がる
電信柱を鉄棒にして
鳥や飛行機がぐるぐる回る
瓦屋根の勾配はしだいに緩くなり
洗濯物から太陽が昇る
天の川の銀河の大昔の想像図を頭に描いて
ぼくは夕暮れの切り刻まれた交差点に立つ
お腹を空かせた気のやさしいウミヘビたちを誘ふ様な
うなぎの蒲焼の匂ひがこの通りを歩いてる
煙突は夏の雲を一つ一つ丸く焦がし
クジラが泳ぐ空の中山道へ連れて行く
きみは小さなライトのスイッチをゆつくりとオンにして
電池が切れてゐないかまた確かめてゐる
駅ビルのずつと上の方にあるレストラン街を一周し終へて
「いただきます」の手を空に向けて合はせてゐる
洋食屋のガラス棚の中のオムライスの光は
誰かの時計の文字盤の灯りだつたのかもしれない
街を見下ろす公園の木でできた休憩所で壁にもたれて
ぼくは非常食のたまごスープを作つて飲んでゐる
夜景のどこかに隠れてる電球の切れたネオンサインを
寒さに震へながらこの場所から探してゐる
琵琶湖の水を目指してはるか昔に飛び立つた
柄杓の形の探査機を待つてる
北極星(第2稿)
ニコニコ動画
https://www.nicovideo.jp/watch/sm35160801
に投稿した曲の歌詞です。
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