A
昏く寒い砂の中 君は何想う
せめて羽根が在ったなら
月夜の光に飛べようか
B
傷つけるだけの牙
忌み嫌われ
隠し続けた姿
終わらぬ生き地獄
S
濡れたままの瞳を覆った
目蓋の裏に浮かぶは
眩しすぎた憧憬の容(かたち)
青く揺らぐ水面で
割れて消えた
A
ある日魔女がやってきて 彼に囁いた
”もしも羽根が欲しいなら
望みを叶えてやろうか”と
B
”その命引き換えに
束の間だけ
誰からも憎まれぬ
美しい姿に”
S’
繭の底へ躰を預けて
ただ独りで夜を待つ
闇に逃げた烏(からす)の叫びが
甲高く刻(とき)を告げる
…
S
濡れたままの瞳を覆った
目蓋の裏に刻むは
かつてあれほど強く焦がれた
青く高く優しい
空の景色
A’
昏く深い森の奥 壌(つち)に目を遣れば
薄い羽根が落ちていた
Myrmeleontidae
物語調になりました。
幼虫の蟻地獄は砂の下で数年、
成虫のウスバカゲロウは数時間の命であることから構築しました。
Myrmeleontidaeは学名。
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