A
夜明け前 真っ暗だ
ぽつんと佇む 少女一人
どうやら発つらしい
足先で航路をなぞる
B
嗚呼 星を数え出した
迷い惑う 涙がひとつ
迎えが来る 腹括る
『―行かないと―』
s
竦んだ脚をどうにかして
行くのが義務では嫌だから
恐怖を煽り立てる
色味のない景色の真ん中
静けさに耳が痛い
A-2
夜明け頃 真っ白な
ヒカリが差し込む 少女はまだ
踏み出せないようで
迎えは9度ばかり来たが
B-2
嗚呼 後退り始めた
逃げる少女 震える身体
其処へ駆ける 朋友が
―背を叩く―
s
竦んだ脚は解けていった
そろそろ迎えが来る頃だ
けれども震えは止まない
黒と白 入り混じる景色
『怖くて堪らないんだ』
C
"それなら掛けてあげる
心が晴れるオマジナイ"
s
震える胸に手を当てると
口から大きく深呼吸
"そうだよ もう怖くないよ"
そう頷く モノクロ背にして
飛び込む航空機の音(ね)
s
解けた脚に力を込め
綻び小さくVサイン
飛び乗る もう翔んでいける
笑み零した 駆け出す滑走路
始まりに色はないよ
E
淡く色付き始めた景色
手を振る二人は…
色彩の未来(ソラ)夢見る
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