羅生門
不肖、不条理、不吉の骨頂 森羅万象、負の闇に帰す
不肖、不条理、不吉の骨頂 外道に呑まれ行く
繁栄した都は、一世を風した後に、不遇続き、勢力失い、衰退し行く
しかし目の前の大門は今もまだそこに立つ
廃れてもなお、朽ち果ててもなお、まだまだそびえ立つ
時は流れ時代は末期、終えていく時は近い
煌びやかさも華やかさも、最早みる影も無い
生活困窮、人層貧窮、窶れていく日々に憔悴
穢れに呑まれ、闇に呑まれ、不浄の地と化す
栄華を支えた大門さえも、血塗られた獄門と化す
その凄惨さは何を物語る
生きる意味さえ無くした僕は、生と死の狭間で何を思う?
荒れに荒れて、痛み朽ち果てた目の前に立つ羅生門
畏れと悪意に染められたその姿、禍々し過ぎた
行くあて先もなく途方に暮れた僕は彷徨い続け
この終着点へと辿り着く
またひとつ人の心が消えた
浮浪者達が次々行き倒れ死体の山と化す 死体の山から穢れが流れ害悪の瘴気と化す
灰色の空に湿った空気、空に降る黒く冷たい雨が矢の如く深く突き刺さり
心の傷を染み渡らせる
「その雨はまるで亡者達が流す血の涙のよう。それを受け止める程の器は、あまりに取るに足りなかった。やがてそれが死霊の怨嗟と瘴気が混ざり合い、奈落の底が今開かれた。」
荒れに荒れて、面影さえも消えてしまった羅生門
絶望の渦に塒を巻かれたその姿、禍々し過ぎた
自暴自棄の僕の頭の中に魔の声が囁いて
「どうせなら闇へ堕ちよう。」と唆す
異形達の声、悪党達の声が僕の心掻き乱す
死霊達の声、死神達の声が僕の心掻き抉る
もう嫌だ!もう見たくもない!これ以上聞きたくもない!頭痛が止まらない!眩暈もする!
積年の恨み、呪い、怨念、憎悪の魂(たま)が、壊れた僕の心に毒付いていった
もういいやこのまま死んでしまおうか?いっそ生きて外道に身を堕とそうか?
どちらに身を委ねる?
荒廃し静寂した世界に立つ羅生門の前で、僕はひとつの罪を犯してしまった
一線を超え後戻りさえできない僕は全てを捨てて、闇の世界へと歩いて行く
またひとつ人の心が消えた
(沈む沈む沈んで行く)
00:00 / 04:38
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想