奇妙なサーカス2 ~目覚め~ 

むかしむかし
あるところにとても我儘な王女様の統治する国がありました
その国にはメイコという、とても剣の誉れ高い兵士がおりました。
メイコの家系は軍人ばかりで、メイコも「力は弱きもののため」と信じておりました。
しかし、我儘な王女様は弱きものを嬲るためだけに軍隊を動かしました。
メイコは国を憂う大臣と一緒に軍隊を動かし、弱い者のために闘いました。
我儘の王女は処刑され平和な国になると思われました。
しかし、待っていたかのように隣国が攻め込んできました。
国を憂う大臣は隣国に国を売り飛ばしていたのです。
むかしむかし
あるところにとても我儘な王女様の統治する国がありました
今はどこにもありません


むかしむかし
あるところにとても我儘な王女様の統治する国がありました。
その国にはカイトという異国からきた医者がおりました。
カイトはその国で勉強をする代わりに、軍隊で兵士の医者となっていました。
戦争ばかりのその国の兵士たちは疲れ切り倒れて行きました。
戦争を嘆くカイトはメイコと一緒に闘いました。
しかし約束された平和は訪れず、戦火は広がるばかりでした。
カイトは嘆き悲しむメイコの傍にいることしかできませんでした。
むかしむかし
あるところにとても我儘な王女様の統治する国がありました
今はどこにもありません


夢を見ていた
暗い森の夢
リンと一緒に小道を歩く夢
道を歩いて行くうちに、森が切れまぶしい光が僕とリンを包み込む

「うぅぅぅ・・・」
うっすらと目を開ける。
黄色い髪が目の前に広がる。
リン・・・
「リン!!」
体を起こす。刺すような痛みが全身を駆け巡る。
「うっ!!」
「まだ動いちゃダメよ!・・・まぁこんな美人さんを見てモノにしたくない男はないわね」
黄色髪の少女ーネルーは悪戯っぽく舌を出して見せた。
「あなたの言っていたリンってこの娘?」
ネルの指差したした先には少年とよく似た面立ちの少女がベットに寝かされていた。
「リン・・・・」
「・・・あなた名前は?」
「レン・・」
「ふぅ~ん、あんたの彼女?」
「そんなんじゃない!!!!!」
レンが放った怒声は家に響き、朝食の準備をしていた大きな箱を背負った白髪の少女ーハクーを驚かした。
「ごめんなさい!今すぐ豆と干し肉のスープを用意しますから。」
あり合わせの容器に出来上がったばかりのスープを入れる。
「テトちゃん、このスープをあの子に渡してあげて」
「をーけー」
赤い髪の少女ーテトーは頭に容器を載せると、ドリル?のようなカールでバランスをとりつつレンの前に置く。
「これ、食え。うまいぞ。」
湯気の立つ、暖かくおいしそうなスープ。いままでこんな物を食べたことはなかった。
だが、
「いらないこんなもん!!!!」
床に容器が落ち、カランと音を立てる。
「てめぇ!ハクの料理をなんだと思ってんだ!」
ネルがレンの胸倉を掴む。
「昨日お前がどんなんだったか知ってんのか!カイトとメイコが徹夜してお前たちを看病していたんだぞ!」
「誰がお前らに頼んだ?助けてもらわなくてもよかったんだ!」
レンの目には明らかな敵意が表れていた。
「口で分からないなら!」
「それまでにしておけ」
「カイト・・・」
そこには青い髪をした青年が立っていた。

「他人の家と知らず、土足で入り込んですみませんでした。私の名前はカイトと申します。」
青年は年少のレンにも敬意を忘れず非礼を詫びた。
「カイト!こんなヤツにそんなことしなくてもいいよ!」
「ネル!黙っていなさい!」
レンはその迫力に押され、次の言葉がなかなか出せられなかった。
「・・・・出て行けよ・・」
やっと声を絞り出す。
「出て行けよ!」
「言われないでもそのつもりよ」
カイトの背後から現れた女性は昨夜の豪華な深紅のドレスから、赤を基調としたスカートとブラウスといった装いをしていた。
「一晩ありがとうね」
赤い服の女性ーメイコーは銀貨を手近なテーブルに置くと家から出て行った。
「何をしているの。出発よ。」
ネル、ハク、テトがメイコに続き、最後にカイトが続く。
「君も、君の妹も予断を許さないことには変わりがない。もし何かがあったら訪ねてきてほしい。この先で公演をしているから」
そういうとカイトも家を出て行った。

「血の気の多いメイコが何もしないで出て行って、おまけに宿賃を置いてくなんてありえなーい」
馬車でネルが茶化す。
「宿賃を置くのは当然のことよ。それにあの子たちにも事情があるのよ・・・」
箱を開き、収められていた人形のメンテナンスをしていたハクが手を止める。
「ひょっとしたらお父さんやお母さんが何かの事情で帰ってこられなくなっているだけかもしれませんし。」
「それは、ない。」
テトが食べていた干し肉を口から離し、そうつぶやいていた。
「家の裏に墓、二つあった。穴を掘って、押し込んだけ。あの子、恨んでる。」
カイトが御者席から声をかける。
いつの間にか馬車は止まっていた。
「みんな聞いてほしい。あの子達を僕たちの団員に迎えようと思っているんだ。」





ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

奇妙なサーカス2 ~目覚め~

エンジンがかかったので悪ノP様の悪ノ召使~リグレットメッセージのクロスオーバー
SSを書いてしまいました。

閲覧数:421

投稿日:2008/10/15 23:14:47

文字数:2,124文字

カテゴリ:その他

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