「crying」 write:2012,02,23





一粒 涙を溢した
透明な滴はゆっくりと静かに 頬を伝い落ちていく
あまりにも 静かに落ちていくから
誰にも気付かれず そっと乾いた地面に馴染んだ

"泣いている自分は 自分じゃない"
"格好良い人は 人に涙を見せない"
辛そうな誰かを 愛す方法は
自分の涙を止めるしか 方法が無かったんだ

あなたが痺れるまで伸ばした腕を
私は気付かないフリをしていた
いつの間にか本当に気付けていないことにすら
気付けていなかった
"ごめんね"

ほら そこに微笑んでるあなたがいる
辛くても必死に待ってるあなたがいる
簡単なこと その手を握り返せば
あなたも私も 心から笑えるんだ
だから一緒に笑って欲しい 私が私に戻っていくまで



また一粒 涙を溢した
何度も頬を伝う透明な懺悔に 一つ一つの意味なんて無くて
ただ独りになると 止まらなくなって
誰にも気付かれず 部屋の隅に行けば静かに泣いた

あなたが喉を枯らすまで叫んだ声を
私は耳を塞いで何度も拒絶した
いつの間にか自分も拒絶されていたことにすら
気付けていなかった
"ちがうの"

ねえ ここに笑えてる私はいない
辛くても必死に耐えてる私しかいない
簡単なこと "辛い"って言えれば
その重く背負ってきた何かは無くなる
だから一緒に泣いて欲しい 私が私に戻っていくまで



"格好良い人は 人に正直になれる"
どうしてこの言葉に気付けなかった？
ほら あなたはまだ痺れるまで腕を伸ばしてる
今なら握り返せる 受け止めて欲しい
"ありがとう"



あなたが心から流した暖かい涙を
私は受け止めることが出来ましたか？
恥ずかしくて流せなかった涙も
今なら ほら 躊躇わずに流せるから
だから一緒に歌って欲しい 私が綺麗に涙を流せるまで



頬から伝って落ちた透明な何かは
"懺悔"という黒ずんだものではなくて
"感情"という 透明ながらも
色を当てれば輝き出すそれに変わっていた