フェイクの欠片

９作目です。
時間が経てば心の傷も癒える…とは言い切れないもの。


繰り返し見たドラマのストーリーも
有り得ないほど　夢で歪められる
まして和解も出来ないアイツとの抱擁(ハグ)は
吐きそうなほど苦しくなる　後味の悪い夢

全ては心の奥の願望なの？
それは許されざる偽物(フェイク)
奪われた誇りをあたしは取り戻したいのだから

グラスによどみなく溜まるフェイクの欠片
この上なく美味と　無知な輩がただ騒ぐ
あたしも飲み干せばいいと　知らずに言うの？
痛みと痺れに満ちた味　それが真実


もし若き日の過ちというなら
心当たりはあたしにもあるけど
宝石(ジュエル)のように輝いていたあの頃と
勝手なことを語る人に　微笑みは返せない

復讐なんて思いを持たずに
いっそ「天使の分け前」というように
月日と同時に消えて無くなればいいの？

満たされフチからこぼれたフェイクの欠片
泥の夢の滓をデキャンタしたらそれでお終い？
あたしは最初(ハナ)から手は出さず距離を置くだけ
大人げないから　あの人は騒がしいのね

記憶は薄れ　都合良く書き換えられがち
愛も希望も友情も　まるであったかのように

グラスにひとしずくが残るフェイクの欠片
誰も口にしない　錆びた匂いの朽ち果てた涙
この場にふさわしくはないとあたしが去れば
全てが片付くわけじゃない　悲しいフェイク