優しくなれ、と人は謂う
他人(ひと)を認められる者になれ、と
優しさを心に誓った少年は
どんな人生(みち)を歩んだだろう
他人を認める
世界を愛する
出来得る限り どこまでも
可能な限り 際限なく
自らを「殺して」人を認め
自らを「捨てて」世界を愛した
大切な何かを失い始めて
心に歪みが生まれ始める
それでも少年は気にせず歩み続けた
己を否定してまでも
「優しさ」の「正しさ」を信じ抜く
他人を認める度
己の存在は希薄になり
世界を愛する程
己の自由を奪われてゆく
心は歪み
心は軋み
心は崩れ
終にはカタチを失った
気付いたときに
残っていたものは
ただ己を否定し続ける
孤独の中の
「独り」の青年
それでも、
優しくなれ、と 謂えますか?
そして、
「優しさ」とは何ですか?
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