おかしなところで几帳面。
彼女は僕をそう言った。
―わけがわからない。
思考は時間を置き去り、螺旋を描いて絡まった。
―僕は几帳面でも生真面目でもないし、ましてやまめな性質でなどあるはずがない。
むしろ僕は無精者と呼ばれる部類のものだろう。
遊離した堂々巡りが再会した時間は、ずっと先まで進んでいた。
―自己埋没はあまりよくないのだろう。
時間が過去へと飛んだ。
―加速し停滞し錯乱した思考では時間に合わせて感じることもできないのだろう。
一瞬何を言われたのか理解できなかったが、しばらく考え、反芻してもやはりそれは理解しがたかった。
―彼女の言動が唐突だったわけでもなく、それがまったく未知の言語によるものだったわけでもない。
それは水平であり、天井のない密室であり、僕にとっての異次元だった。
理解しがたい新たな思想は彼女しか持ちえないものらしく、他人からは得ることができない。
―しかし彼女は逆だと言った。
それは間違っているが正しい、と。
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