ラティメリア

　ラティ　僕のことは忘れて
　顔を上げてほしいんだ
　いつかまた会いに来るから
　その日まで　さようなら

　馬酔木になって　蠍になって
　魚になって　海を泳いで
　人に生まれて　人を愛して
　幾度死んで　生まれて
　また死んで

　雨粒と同じ数
　君を探し続けた
　色のない街並みで
　宵闇の校舎で
　今もまだ僕を覚えていてほしい
　君にまた会いたいよ
　会いたい
　ラティメリア


　ラティ　君はどこにいるだろう
　約束の場所はもう

　生まれて死んで　死んで生まれて
　寄せては返し　繰り返す波のよう

　春の日も
　夏の夜も
　君を探し続けた
　秋の香も
　冬の音も
　君には届かない


　52Hzの君
　もう顔も忘れて
　大切だったことだけ
　まだ覚えている
　真白な百合の僕は
　十の夢の一夜
　もう来ていたんだなと
　君は呟いた
　もし夢だとしても　君に話したい
　僕という命の軌跡を
　ラティメリア



１２
ラティ　ぼくのことはわすれて
５　５
かおをあげてほ〈しい〉んだ
１１
いつかまたあいに〈くる〉から
５　４
そのひまで　さ〈よう〉なら

７　７
あせびになって　さそりになって
７　７
さかなになって　うみをおよいで
７　７
ひとにうまれて　ひとをあいして
７　４
いくたびしんで　うまれて
５
またしんで

５　５
あまつぶと　おなじかず
５　４
きみを〈さが〉し　つづけた
１０
いろのないまちなみで
８
よいやみの〈こう〉しゃで
８　８
いまもまだぼくを　おぼえていてほ〈しい〉
９　４　５
きみにまたあい〈たい〉よ　あいたい　ラティメリア


１２
ラティ　きみはどこにいるだ〈ろう〉
５　４
やくそくの　ばしょは〈もう〉

７　７
うまれてしんで　しんでうまれて
７　４
よせてはかえし　くりか〈えす〉
５
なみのよう

５　５
はるのひも　なつのよも
５　４
きみを〈さが〉し　つづけた
１０
あきのかも　ふゆのねも
８
きみにはとどか〈ない〉


５　５
ごじゅうにへるつのきみ
５　４
もうかおも　わすれて
１０
たいせつ〈だっ〉たことだけ
７
まだおぼえ〈てい〉る
５　５
ましろなゆりのぼくは
５　４
とおのゆめのいちや
１０
もうきていたんだなと
８
きみはつぶやいた
８　８
もしゆめ〈だと〉しても　きみにはなしたい
９　４　５
ぼくといういのちの　きせきを　ラティメリア

※〈〉内は１音で２文字