scene#04

住宅地から丘へ続く道。男の声が聞こえてくる。
ユウ(仮名)「な、な、なななあ、お、おおおねえちゃん。」
男と男の手を引く女の背中がフレームイン。男の歩き方が妙な感じ。
姉「ん?なんや?」
ユウ「ど、ど、どこ、い、いいくん?」
姉「。。。もう。。。すぐそこや。」
ユウ「は、腹、へったなあ。。お、おお、おかあちゃんとお、おおおおとんはどこ?」
丘の中に入って行く2人。姉、答えすに黙々と弟を引きずる様に歩いていく。
しばらく無言。思い出したように、弟に答えるというよりは、自分に言い聞かせるように、

姉「おかあちゃんとおとうちゃんなあ、、、事故で死んでもたんよ。もうおらんねん。」

ユウ、道に死んでいたセミを見つけて、拾おうとするが、姉に引きずられてとれない。
指をくわえて、遠ざかるセミの死体を首を後ろに曲げて見ながら、思いついたように、

ユウ「なあ、お、おおおねえちゃちゃん。」
姉「ん?」
ユウ「じ、じじじ、じこって、う、う、うまいんか?」
姉「。。そうやねえ。。。しょっぱい、かなあ。。。」
丘を登りきった所にお地蔵さんがあり、そこで姉が立ち止まる。
姉「ユウ。ちょっとここで待っとってくれるか?」
ユウ「あ、ああ、あい。だ、だだいじょぶ。」
姉「また前みたいになんでも虫食べたらアカンよ。」
フジオ、「あ、あ、あ、ぁぁ、、、あい。。が、ががががががまんする。」
姉「便所しとなったら、道の真ん中やなくて、人の見えんとこでな。」
ユウ「あ、あぃぃぃ。」
姉、丘を降りていく。ユウ、しばらく見送るように見ているが、地蔵様に蝶が止まってるのを見つけ
捕まえようとする。しばらく追いかけているが疲れたのか、地蔵の横にすわる。
地蔵に這っている、蟻の列を見つけ、指をくわえてよだれをたらす。
ユウ「あ、ぁ、、、ぁり。。。。」
ユウ、一匹捕まえて、もてあそぶうちに、噛まれる。
ユウ「ぃぃで、、、いでででで。」
ユウ、噛まれたまま、アリのお腹をちぎり喰う。
ユウ「あああ、あり。あ、あ、ああまぃ。」
ユウ「お、お、おおねえちちゃんは、むしはたべたら、いいいいけないって。」
ユウ「ででで、ででも、こ、これは、ああ、ああぁり、だし、ぃ、いいんだ。」
次々に捕まえて、喰っているユウのしゃがんだ背中。

ユウ、ふと、思い出して。
ユウ「ボボボボボクはな、なんでこここここここに、い、い、いるんだっけ?」

カメラ、ユウの後ろ頭ごしに空へズームアップ。5-6秒雲の流れる空のみ。
ユウの声「し、しし。しんだ、っっっっって、う、う、うまいんかな?」

フェードアウト。

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ライセンス

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TITLE 『逝く夏』  #04

脚本
scene#04

閲覧数:88

投稿日:2013/08/27 00:23:05

文字数:1,162文字

カテゴリ:その他

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