片割れ月を隠す影　枝垂れ柳
怪奇な夜に
面布の大男が現れ黄泉へと
誘うらしい

声に付いて行けば
ひとかたならぬ強さで
引っ張られ袋に
詰められる

噂話に染められた
子供たちを探すため
夜な夜な矯めつ眇めつ
陰の中で待っている


影を呑む陰が病葉に触れ枝垂れ柳がさやぐ

「い　っ　しょ　に　あ　そ　ぼ　う」

息を切らして疾く
足に螺子を巻いて解く
彼奴は大人には
見えやしない

伝承は親から子へと
継がれ行くと言うけれど
逃げ出した子から人へと
噂として紡がれた

片割れ月を隠す影
枝垂れ柳の下にて
面布の大男あらば
帰り路は急ぎなさい

―――

かたわれづきをかくすかげ　しだれやなぎ
かいきなよるに
めんぷのおおおとこがあらわれよみへと
いざなうらしい

こえについてゆけば
ひとかたならぬつよさで
ひいぱられふくろに
つめられる

うわさばなしにそめられた
こどもたちをさがすため
よなよなためつすがあめつ
かげのなかでまあている

かげをのむかげがわくらばにふれしだれやなぎがさやぐ


いっしょにあそぼう


いきをきらしてとく
あしにねじをまいてとく
あいつはおとなには
みえてない

でんしょうはおやからこへと
つがれゆくというけれど
にげだしたこからひとへと
うわさとしてつむがれた

かたわれづきをかくすかげ
しだれやなぎのしたにて
めんぷのおおおとこあらば
かえりみちはいそぎなさい