東雲(しののめ)に
目覚める朝
隣で眠る、君
でももう目を開けてはくれないんだね、冷たい肌 そっと雫落ちる

風の音は聞こえず
呼んだ声も永久(とわ)の星空に吸い込まれて
何も変わらない、ありのままの姿
行ってしまったのは君だよ、
私を置き去りにしてひとり飛び立った

愛さなければ悲しみも知らなかった
君がいないと泣くこともなくて
何をそんなに急いでいたの?
もっともっと時間はあったはずなんだよ、そうでしょ?

限りなく永遠に近い刻(とき)の中
私たちが永遠に引き離されたことだけが真実
はらはらこぼれた私の涙が空へ
流れたものは星になって
舞えなかったものは白く咲いた


涙雨
しとどに降る
今夜から、もう
私はひとりなんだね、この花園で どんなに寒くてももう君はいない

蓮の葉の上にぱらり
星のかけらみたいな雫が転がった
君がいつか、やってくれたように
緑の葉を傘にした、
それだけでほんの少し気が紛れた

愛さなければ苦しみも知らなかった
でもそれを恨むことはしない
愛せないこと、それはどんな悲しみを知らないことよりももっと辛い

君の声が聞こえた気がした

ひとりでもいいと思えたわけじゃなくて
君が私にくれたものがたくさんあるから大丈夫
私の涙の最後の一滴(ひとしずく)が
地に落ちてぱっと開いた
赤い愛の花(アネモネ)


愛さなければ何も知らなかった
だから今はそれでいいと思うの
君と一緒にいなければ
涙も別れもヒカリも幸せも知らなかった、“ありがとう”

“いつまでも待つよ、廻(めぐ)る刻(とき)の中で”
そう君に届くと信じて呼びかけた、蒼い星空の果て
紫の花を君のいた場所に捧げ
今日もまた世界を歩くの
君の好きだった歌を唄いながら


群青色の空の彼方で
別の惑星(ほし)へ渡ってしまった君を想う
離れていても、ふたり
またいつか会えるよね

おやすみ
さよなら
またあした。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

Planet-anemone  ‐プラネットとアネモネ‐

――――行ってしまったのは、私じゃなく、君だよ。

「プラネット」シリーズ最終作、前作「Planet-allium」の対となる詩です。今度は“君”視点。「アネモネ」は適当に決めたんですが、花言葉がぴったりはまっていて驚きでした。
「はかない恋」「恋の苦しみ」「薄れゆく希望」「辛抱」「期待」。
ちなみに赤は「君を愛す」。白は「真実」、紫は「あなたを信じて待つ」。文中にこっそり隠しました。
これも決して悲しいだけではなく、希望の持てる詩にしてみたつもりです。

閲覧数:125

投稿日:2013/08/21 14:43:24

文字数:805文字

カテゴリ:歌詞

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