どこにもいかないで、ずっとここにいてほしかったのに。
はずした時計は歩くのをやめ、飛ばした思いは降りてこない。
君が閉じてしまった緑色のポストに入らず堕ちた。
ずっと待っていたのにな、
たとえば、道に咲いて枯れた花。
独りにできなくて、救い上げるのが悪いこととは思わない。
そんな風に、君の言葉だって。
そっと包み込んで僕が背負っていけたら、よかったなあ。
吐息のかかる、肌の奥に触れさせて。
これ以上は離れていかないで。
窓を伝う雨に、心を乱されるような。
駆け抜ける風に、逆らい立ちすくむような。
嘘は嘘で。見えなくしてゆけば、
きっと君から消えないだろう。
締め切った部屋に灰色の魚。
独りじゃ生きれない。溜め込んだ怠惰を愛して生きよう。
目に見える、僕だけを信じて。
奥深くにしまいこんだ声なんて、見てほしくないんだよ。
光がいつか、僕と君を溶かすまで。
ただ何も言わず明日へつれてって。
子供のような君の、寝顔を追いかけつづけ。
隠していたものは、砂のように崩れ去っていく。
愛も涙も。壊してしまうのなら、
僕のほうから別れを書こう。
どこにもいかないで待ち続けること、覚えたのは
君がここで待っててほしいと、僕にそういったからだろう。
なのに、なんで、けれど、そうだ。知っていたさ。
君が閉じてしまった鉛色のポストをおおいつくすように、
いつまでも、声は届き続ける。
ずっと待っていさせて―。
コメント0
関連動画0
ご意見・ご感想