◆研究室の一角。
その部屋の全てが何らかの装置であり、常に何らかの役割を持って稼動している。
その所為か、低い機械のうなり声が絶える事が無い。
その中心、大きな試験管のような装置の中で彼女は眠っている。
ゆりかごと言うにはあまりに無骨で飾り気の無い物だ。
その部屋の全ての機器は、その試験管……その中の彼女に繋がっていた。
溶液の中に、眠る彼女の口から溢れた泡が上って行く。
それがいつの間にか、静かに揺れる溶液は海のイメージと重なり、泡は深海から海の外へと消えていく。
ミク「マス……ター……」
◆ OP
◆明かりが灯されていない会議室。
外には既に星が満ちていた。
ドンッ!と、博士は机を勢いよく叩きつける。
思いつめた表情で、彼は叫ぶ。
山波博士「納得できません!」
ワナワナと震える手は、彼の心情を映し出す。
恰幅の良い男は窓の外に広がる光景を眺めていた。
荒廃した旧都市の遺骸に、爆炎が鮮明に浮かび上がる。
取締「今、この世界に必要なものは何か分かるか? 博士」
葉巻を取り出し、一服して続ける。
取締「飢えを凌ぐための食料でも、寒さを防ぐための衣服でも、安心して眠るための住居でも、孤独を紛らわす為の隣人でも無い」
振り向き、正面から応える。
取締「“法”だよ……絶対的な力を伴った唯一つだけ存在する“秩序”だ……人間の尊厳を守る為には不可欠なんだよ」
山波博士「し、しかし! 過ぎた力は人を滅ぼします! 現に、過去の過ちを踏まえてもこの大戦を回避することは不可能だった! なのに……」
取締「だからこそ、人は力を正しく使わなくてはならない……その為の人格、その為の技術……博士、貴方がしているのはそういう研究だ」
山波博士「で、ですが……」
取締「博士、もし今この時、Vロイドが存在していなかったら……世界はどうなっていたと思う?」
山波博士「確かに……人間は滅亡していたかもしれません、でも」
取締「我々にもし力が無ければ、人類は滅亡していた……そして今、それすらも凌駕する力が必要なのだ“絶対の秩序”の為に……」
山波博士「……」
取締「博士、研究に戻り給え」
山波博士「ハイ……」
窓に水滴がポタポタと……徐々に激しさを増し、本格的に降り始めた。
◆AW.013年 8/31(前シーンから半年後)
研究室で大勢の研究員が慌しく動き騒いでいる。
その中心には、山波博士の姿があった。
研究員A「博士、全工程完了しました!」
研究員の声に、あの時よりも痩せ、無精ひげを生やし、髪を乱していた博士がパタパタと駆けてくる。
山波博士「よし、バイタルチェック! 起動するぞ……」
部屋の中心にある試験管が開放される。
過剰な演出とも取れるスチームが一瞬、全てを覆い隠してしまう。
しばらくして、中からは微動だにしないミクの姿が現れる。
研究員B「し、失敗……」
博士、ミクに駆け寄る。
山波博士「おい、ミク! 起きろ! 目を開けるんだ!」
研究員A「博士、まだバイタルは……」
山波博士「起きろ! 朝だぞ、お・は・よ・う・だ! ほら、起きろ!」
研究員B「博士、もう……」
ミク「お・は……よう?」
研究員A「博士、バイタルが!」
山波博士「そうだ、おはようだ! えらいぞミク!」
ミク「……み・く?」
山波博士「そうだ、お前の名前だ! 分かるだろ? お前はミクだ! 初音ミク!」
ミク「ミク……名前……おはよう」
微笑むミクを抱きしめる博士。
その顔は泣き崩れてクシャクシャで鼻水まで垂れて見っともないものだったが。
心の底から、彼女の誕生を祝福していた。
◆さらに数ヵ月後 社内の中庭の一つ
携帯端末からの情報をのんきに転がりながら閲覧するミク。
博士はその様子を温かく見守っている。
ミク「博士、博士、これはなんですか?」
山波博士「それかい? それは、ネギだよ」
ミク「ネギ……どんなのですか?」
山波博士「そうだね……うどんやそばと一緒に食べると美味いんだ!」
ミク「美味い……おいしいって事ですか?」
山波博士「そうだよ、最高においしい!」
ミク「……食べてみたいです」
山波博士「……今は中々ネギ手に入らないからなぁ……そのうち、食べさせてあげるよ」
ミク「本当ですか? 博士!」
山波博士「あ、あぁ、約束だ」
ミク「わぁ~! 私の髪の色と同じネギ……どんな味かなぁ!」
笑う博士とミク。
博士の顔には少し影がさしている。
◆さらに数週間後 研究室
休止中の研究室で、さまざまなデータを検証している博士。
目の下には隈が、表情には焦りと不安が見える。
ミク「博士ー、博士ー」
山波博士「……クソッ……どうすれば……」
ミク「博士ー、やっと見つけましたよー」
山波博士「……ぁあ、ミクか……どうしたんだい?」
ミク「ハイ! 訓練が終わったので、兄さんからアイスを頂きました! ほら、博士の分も!」
山波博士「カイト君が? そうか、後でお礼を言わないとな……」
ミク「ハイ!」
山波博士「……ミク、訓練はどうだった?」
ミク「ハイ! 前回の結果を23%上方修正できました!」
山波博士「……そうか……」
ミク「博士……?」
山波博士「……なんでもないよ、さ、俺もミクに負けないように頑張るかな!」
ミク「……ハイ!」
研究室の外、青いマフラーが過ぎ去る。
◆さらに(ry X-DAY
CC社全域に警戒令が発令される。
赤いテールランプが激しく輝き、狂ったようにサイレンをあげる。
山波博士「ぐっ……」
脇腹を抑える博士。
指の隙間から血があふれ出る。
ミク「博士!」
山波博士「俺はいい……早く逃げろ……」
通路の奥から、量産型のVロイドが数機接近してくる。
それを、ミクが飛び掛り一蹴する。
ミク「博士を置いてはいけません!」
窓に向かって光線を放ち、大穴を空けるミク。
山波博士「ミク……」
ミク「安心してください! 私は最強のVロイドなんですから! 無敵ですよ!」
ミクは笑顔でそう言った。
……………続く
【台本】初音ミク(仮) 01-a 「始まりの唄」【アニメ?】
とりあえず、台本的なものをあげてみる
書いてる途中で「あ、なんかイメージとまったく違う方向で書いてるw」とか思ったけど無視の方向で→
今回のは(脳内に)数本あるシナリオうちの「未来編」とでも呼ぶべきものの始まりとなりますね。
色々あるはずのエピソードの大半を削ってるのは、後の話で回想で差し込むからだと思います(多分)
台本的なので、案外サクサク書けるのがいいよねー(知るかい!)
アニメ化の予定? ありませんよw
で、このあたりの話は「過去編」とでも呼ぶべきシナリオではスッパリキッパリ切ってしまわれる部分でもあります。
「過去編」は言うなればター峰ーター的な展開で始まりますw
だから、ズババババッサリ省かれます。
読み物系って、読むほうがしんどくて中々見てもらえない事がネックですよねぇ……
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