朔宵の花
ただ一人月夜を歩く
咲き誇るのは死人花
果てなく続く獣道
魑魅の唄響かせて
霞んだ視界に朱い色が跳ぶ
ただ息を殺し舞う花を見てた
悪い夢なのに鮮やかで
ただ美しい
君が己と引き換えに
咲かせた花は罪の花
密やかでどこか果敢無い
入寂の俤(おもかげ)
誰にも知れる由もなく
私の掌へ落ちた
温かく凛としていた
貴方の花でした
朔宵(さくよい)の夢結び
唇に差した紅と同じ艶
妖冶(ようや)で哀しく息吹く彼岸花
幾多の強者を見送った
奇異の天照(あまてらす)
何も彼も零れ落ちてく
一人荒野に立ち尽くす
声も出せずに涙だけ
溢れ頬を伝う
例え非情な定めでも
鬼心は終(つい)ぞ持てぬまま
朽ちた花びら拾い上げ
ただ強く抱きしめた
永久(とわ)の誓いも果たせずに
守れるものも守れずに
貴方の花に口付けて
深い闇に溶ける
青い炎とともに
※朔宵:月のない夜(造語)
※鬼心:鬼のような心(造語)
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