砂漠の海を進む 駱駝の船は
揺られ揺れオアシスの 港に集う
陽炎揺らぐ街の 光彩宿す
黒い瞳を焼き付けた日差し
熱砂が 迷い込む庭
少年のふりをしたお嬢様
暮れゆく 隊商宿の
二階の窓から君と目が合った
交易で運ばれた 異国情緒薫る
取引場に焦がれる 籠の鳥
どこからどこへ 旅をしてきたのと
うらやましそうに僕を見た
まるでジンの悪戯 心捕らわれ
笑顔が見たいだけの 嘘を赦して
旅の話は明日 聞かせると言い
朝には次の街へ発つ日でも
巡る 通商路の
千年変わらないオアシス都市
商家の 開いた宴に
いつか見た面影の一人娘
君は僕に気がつき 少し睨んでから
吹き出してはごまかし うつむいた
あの日の嘘を 赦すならどうして
泣き出しそうな顔をしているの
短い春に咲いた 花は手折られ
決められた将来の 窓辺を飾る
散らしてもいないのに 枯らされないで
一目ぼれをしたのは僕の方
千一夜も色褪せる 一夜の寝物語
夜明けまで眠らない体が囁く
ランプが照らす 寓話の影に
人の世の弱さを知る
何と引き換えたなら 願いは叶う
市場には並ばない 自由の翼
若者に残された 魔法は一つ
つないだ手を離さないことだけ
砂漠の海に沈む 古代の栄華
寄る辺なき旅人を 見送り煙る
月よ爆ぜる朝陽に 追われる前に
導いて 後悔はしないから
名も知らない 西の果てまで
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