日に焼けた楽譜がいち枚 風に流れ はらりと落ちてゆくのです
それはもう奏でられた音(ね) 拾いあげる人などいないでしょう
目の前にならぶ旋律で 誰も手一杯なのです
幼い写真 大きなピアノの前で笑いかける父の姿
幼い記憶 眩しい光の中で手を握った母の体温
あの頃の譜面をとじ合わせ眠りにつくのです
色あせた楽譜はやがて 気づかぬうちに 音もなく散らばるのです
臆病な私はそっと いち音いち音たしかにすくいあげて
過去を今でも手放せない さびしい大人なのです
幼い写真 真っ白なドレスに身を包んだ自分 覚えている
幼い記憶 真っ赤な花束を持つ指の感触 忘れられない
あの頃の譜面を抱きしめて今を生きるのです
床に落ちた音色は悲しくなるほどにも愛しい香りでした
繰り返しの記号を何度もなぞりながら ようやく終わりに向かう
あの頃の私は拍手して喜んでくれるかな
楽譜
せんむさんの
【歌詞・イラスト募集】ピアノ+4重奏【重音テト】
http://piapro.jp/t/tatD
へ応募した作品です。
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