遊馬

I Wish
君が来るまであと二時間　お茶の準備をしておこう
波打つ小麦は黄金色　彼女の髪を思い出す
流れるニュースが哀しくて　切ったテレビは笑わないけど
こころ澄ませば見えるはず　扉叩けば、ほら
I Wish　聞かせてよ　明日からのメッセージ
　　　　この世界が憎しみで溢れる前に
I Wish　聞...

ワインカラー・ストーリーズ
ふたりで歩いていく　いつまでも　信じてた
絡めた指先を　指輪の代わりに
君が願う永遠の絆を　誓って
たたんだブラウスの白さ　眩しい
どこの空の下に君はいるのだろう
二度と逢うことはかなわないけれど
昔みたいに笑っているのなら嬉しい
飛ぶ雲追い駆けて　笑ってた　あの日に
指...

なないろのうた
なないろの天の橋
あどけなく背伸びして
水たまり　夏を映す
汗ばんだ白いシャツ
まばたきもせず振り仰ぐ
いつか見た　約束の丘
空を翔る　八月の天使たち
雲の輪舞曲（ロンド）　きみの眼差し
遠く遠く追い駆けて...

Edge of Heaven
いつだってただ逢いたくて　なぜか
二度目の恋を　思い出した
ずっと気付いてたのよ　あなたが
嬉しい時　黙り込む癖
ああ、だから　電話じゃ物足りないのよ
すぐに　迎えに行くわ
Take me to The Edge of Heaven
紅いオープンカーで　月を抱いて走りま...

　翌朝、ジーンは《村》の倉庫から拝借してきた食料を手に小屋へと向かった。
　何気なく、ジーンは小屋の扉に手をかけたとき。
「……ん？」
　微かに、しかし確かに小屋の中から歌が聴こえた。ジーンは蹴破るように扉を開ける。
「くぉらぁ！　歌っちゃダメだと言ったろ！」
「ひゃうっ！」
　文字通りぴょんと飛び...

　歩いている。歩き続けている。
　旅人が独り、荒れ野を歩き続けている。
　歌っている。歌い続けている。
　荒野を歩きながら、歌い続けている。
　流れる雲だけが聴いている。
　旅人の視線の先、《森》が見える。《森》のそばには《村》があるだろうか。
　誰かが住んでいるだろうか。まだ見知らぬ誰かと逢えるだ...