ユルラ

『少女は、永遠に時間からは逃れられなかった
記憶をなくした場所からのリピート
そして、少女がトラックに轢かれたのと同時に
時間は記憶をなくしたところへ戻る』
『少女の愚かさが生み出してしまった時間
現実では少女も少年も目を覚まさない』
『二人は夢の世界の時間軸に囚われたまま
永遠に、目をさめることは...

「にぃには、大切な人ができたんだよね」
「は?」
「思い出した、全部」
にぃは目を大きく開けた。
私は、話すことをやめなかった。
「にぃの守るべき存在は、私じゃないことも」
「にぃにはミクがいるんだもんね」
「レンもミクもにぃも別の世界にいっちゃった」
「大嫌い!!!!!!!!!」
そういって、外に...

「ねえ、リン。私たち、付き合うことになったの♪」
「へ?」
友達のミクは笑顔で私に言った。
どこまでも純粋な笑顔の隣にあるのは――・・・
「私たち、付き合うの♪」
よく知った、笑顔を浮かべる。
私の、一番嫌いで好きな人。
「ねえ、リン。私とカイトのこと応援してくれるよね?」
そう、一番よく知った幼馴...

「ね、ねえ・・・にぃは付き合ってる人いる?」
「はぁ?　何で急に」
――心の壊れる音がする
「ちょっと、気になって・・・」
――止められない、留め金がきかない
「・・・はぁ?」
――全て　　　　　思い出してしまいそう
「答えて?」
――言葉とは裏腹な気持ちが　どす黒い気持ち
「・・・いるよ」...

――私たち、付き合うの♪
―――ねえ、リン。私と――トのこと応援してくれるよね?
――――・・・残念、リン。恋はね、早い者勝ちなの♪
―――――所詮、幼馴染は幼馴染のまま
――ごめん、リン
「嫌ッ!!!!!!!!」
悪い夢に、魘された。
どんな夢かは覚えてないけどとっても悪い夢。
私は小さく自分を抱...

「は?　お前の家は俺の隣だろ」
「お母さんと、お父さんは?」
「・・・」
先輩は口ごもった。
なんとなく、先輩は言い辛い。カイ兄と呼ぼう。
そして、カイ兄は小さく口を開いた。
「・・・5年前、事故で亡くなった、だろう?」
「ごめんね、わかってること、聞いちゃって。
家に帰ったって、一人ぼっちだもん。...

嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い
嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い!!!!!!
「私たち、付き合うの♪」
ミクのいつもより高い声が耳に残る。
やけに音の大きい雨が全てかき消してくれる。
いや、掻き消してほしい。
髪に雨粒がついて、風邪をひきそう。
でも、そんなこと気に...