浅葱夕蔦

鳴りやまない
慟哭に似た 息を呑む静寂が
刻み 刻んで 忍び寄る
歌いながら
嘲笑いながら *
迫り来る
研ぎ澄まし 抉じ開けた血路は
赤に染まる 祝福のカンパネラ
踊れ 虚実に酔う
濃緑が覆う迷路じみた環状...

紙の上の君　君の中の僕
夢を追う男　男を待つ女
愛を売る涙　嘘を買う愚民
恋を知る刹那　殺し合う二人
顔のない君　君の中の僕
夢の中の嘘　嘘の様な夢
過去を追う旅　今が逝く度
道を行く途中　死にゆく最中
彼女は言った　これでいいの？と
僕は言った　これでいいよ、と...

嘘吐きが笑う夜
泣きじゃくるこの空
歪ませたままじゃ
まだ僕たちは
あああ
言霊に踊られる
泥人形雨に濡れ
見開いた目には
もう何もかも
とうに映らない...

数えていてもきりがないこと
分かってるつもりだけど
不肖私の底意地悪さは折紙付きなの
あどけない笑顔
なんて羨ましいの
どうしたって敵わないから
ならば先手必勝
　明日こそこの想いを
　君に打ち明けよう
　息をするのも怖がる...

気付いて 気付いて 僕はここにいるよ
　届いて 届いて 歌い続けるから
水溜りの中でひとり 同じ色連なるモアレ
涙跳ねた 跳ねて消えて 置いてきぼりの心ひとつ
どうすればいいかなんて 問いかけたって解けやしなくて
仰げ仰げと急かす声が 重く重く圧し掛かるの
　「こわいよ」って口にしたら もう何処へも...

いつの間にこんな距離感で話してた？
何もかもすべて諦めた温度で
小指絡ませて吐息(いき)を奪おう
嘘ばかり吐(つ)く唇を
過去と呼ばないで
未(ま)だ此処(ここ)にある二人の恋を
大好きな君の言葉は特別で
変わらない声が別れ告げる今も
強がり溢れた涙(みず)は微温くて
恋心ごと押し流す...

擦り減った靴底衒いながら
揶揄った風に歌う未開の夢
「そんなもの最初から無いのさ」
汗に混ざり落ちた
際立った一握りの何かに
誰だって恋焦がれた青い季節
「そんな人生欲しくないのさ」
乾いた喉の奥 詰まる虚勢
苦い砂を噛み砕き今も幻想を見るの
目隠しして走れどすれ違うだけ...

すべてが終わりではないと
わかってた気でいたけど
涙の海に沈む夜を待ったけど
君を夢に見た朝に襲いくる孤独
うつろい拒む
　駅のホーム　喧騒
　行き交う人の波間に今もまだ
　君がいる
すべてを悪だと決めつけ
身勝手に八つ当たって...

アナタに何を求めたの？
ワタシが何をしたと言うの？
嗚呼　失礼な話よね
ねえ　次に出逢う時には
少しは利口でいてね
　寄生する　bad vice
　躾けてくれればいいのに
　何度目の　bey-by
　数えるのにも飽きてきたわ
アナタが何を成し得たの？...

妖しく窄む瞳孔　隠した牙が疼く
愛欲潜む　夜毎　柔肌に突き立てて
いつしか揺らいだ愛は奈落の底
幾重に穢れて失われた純情
　刺し違え逝けたならば
　望みは叶おう
　束の間に視線絡む
　夢なら今こそ息の根を　さあ
人間たる僕の目覚め　黎明　招く悔悟
泣き濡れ伏せた睫　触れて尚渇く...

待ち侘びた終わりが来る　さあ　すべて投げ出して
震える肩に罪を背負い　自由を手にした籠の鳥
君と私はシンメトリー　そう　疑似て非なるもの
簡単には壊れやしない　真理の幕が開ける
落ちる際の景色が（気色が）
置いてく私をただ見つめていた
だめよ　振り向く資格はないの
それが選ぶということ
幸せになる権...

「異常事態感知」
「処理要請　解析セヨ」
ナニモカモ　ガ　ユガンデ　ミエル
「処理要請　排撃セヨ」
ナニモカモ　ガ　セイジョウチ　デナイ
マニュアル　ダケ　ヲ　ナガメテモ
コタエ　ハ　ミツカラナクテ
ネット　ノ　ウミ　ヲ　オヨイデモ
コタエ　ハ　ミツカラナクテ
キミ　ノ　カオ　ヲ　ナガメテモ...

薄い硝子の窓
光射す午後
空っぽの水差し
空が見えた
僕は慣れた様で風を泳ぐ
君はつまらなさそうに息をつく
名前さえもない　かたちどる情景
「水をくださいな」　音の森で喉が鳴る
張り詰めてこぼれそうな
瀬戸際に挿す一輪の花...

鏡に映る歪んだ顔　砕け散った
なんて臆病　終わらせる場所を探してる
大事に大事に穢してくれないなら
いっそ壊して　抜殻になってもいいの
「イタミ　ハ　シアワセ」？
ああ、思った通り　中身なんて無かった
叩きつけられることに慣れたようで
そんな簡単なことを　ただ　忘れていた
同じ色の空を眺めているつも...