犬世 氷利の投稿作品一覧

悲しみが目を醒ました
深い深い夜の海で
塵も積もれば山となる
やがてそれは 束となる
まるで 砂を噛み続けている様だ
言葉にも成らず 心臓と焦りだけ
ひたすらに 胸をたたいた
涙の意味さえも 定説に絡んでいく
口に出した所で 分かり合える筈もない
薄明かりが 綺麗だと思ったのは...

夜が溶けた 漂う 海底
深海の嘘も聞こえません
左腕の傷は 真実を憎んだままほろば
空っぽの心臓には血液さえ
流れてないような気がして
灰色の声 透明なひとみ
透かして見えた軽すぎる現実
鈍色の記憶 赤色の空
溶かして消えた空中都市
差別なんてない世界 いらない...

汽笛が遠くで鳴っている
近づく 距離を確かめるように問い詰めた
カンカンとなる踏切の音が
なんだか 虚しくて息を 止めた
遠い 場所 私を知らない
遠い 場所 誰かに問いたい
私は一体 誰なのか どう見えるのか
教えてくれよ
落ちる場所さえ 知らされずに
思い出の 断片が 灯火に感じるのは...

喪失感とは何か
失った事にさえも気付かない事だろうか
それとも 喪うモノも無くなることか。
私には何かを得る強さも
何かを喪う純粋さも ないと言うのに。
小さな点から宇宙が始まった様に
胸の奥 夜だけが膨らんでしまうのさ
無重力でこの世界から浮き足立つ私を
掴まえて離さないで
このまま夜に 溺れて逝...