Kiyu

プラットホームでふたりきり
無言で迎えた最終電車
空気を掴んだ右の手と
淋しい私の左の手
あなたは上りに私は下り
さよならなんて言わないわ
あなたが作り 私が歌う
テンポは胸の鼓動くらいで
誰も知らない秘密の夜の
色褪せた小さな恋のうた...

いつからだろう
あなたの隣 並びたい
願うだけなら簡単ね
叶わぬ恋が始まった
画面を隔てた内と外
次元を越えて 会いたいよ
今すぐ
あなたが打ち込む恋のうた
甘いミルクティーみたい
私が歌う恋のうた...

「結婚するんだ」
マスターの言葉を聞いた瞬間、私は深い谷に落ちたような感覚に襲われた
自分でもありきたりな表現だと思う
だけど、今の私の心境を表すには充分だった
私のマスターはどこにでもいるような普通の男性だった
だけど曲を作ることに関してはどこか人より秀でたところがあったらしい
マスターの作る曲は...

明かりのついた子供部屋
おもちゃの箱の片隅に
ひとつの絵本がありました
子供は楽しくおもちゃで遊ぶ
大人と楽しくおもちゃで遊ぶ
箱の底にはひとつだけ
誰も知らない絵のない絵本
開いたページ 何もない
彼も私もあなたも僕も
壊れた表紙 ちぎって捨てた...

桜が咲いて 出会った僕ら
慣れない環境 抱く不安
そんなみんなにSay
「ハロー」
何かが変わる音がした
笑顔もあった 涙もあった
だけど変わらない
たったひとつのこの絆
ありがとう 今日この日だから
ありがとう 君に言える気がする...

夕日が暮れた午後６時
並んで歩く 君と僕
買い物袋左手に
右手は君の左手に
こんな普通の日常が
君との思い出になる
大好きでした 君のこと
優しい歌声 その笑顔
大好きでした 君のこと
今までも これからも...