ぼこ

「遣らずの雨」
暁もまたず　あの人はその場を後にする
温もりが残る衣に顔を押し付けると　白檀の香
恋しいや　あの人の全て
愛しいや　あの人の影でさえ
何故、朝が来るの？　嫉妬深い橋姫が引き裂くのね
天の御空(みそら)よ　私の代わりに泣いて
灑涙(さいるい)　あの人の帰り路を閉ざして
永久の七夕　彼来...

【夏夢】
梅雨の明け　夢を見るほど
恋しくて　嗚呼、ときめく
肌にさす　陽射しの熱すら
愛しくて　嗚呼、躍る
蜃気楼　ゆらり　ゆらめく　海
指折り数えて　波　波　透き通る
南の果てにある　私だけの島　思い出せば、そこに　色透き通る
宝石のよう煌めく　虹色、水飛沫　光輝いて、ゆらり　水面
目を閉じれば...

【秋の女神】
蝉の声　夏の終わりに　女神は　舞い降りる
稲穂の　筆を片手に　大地を　彩る
秋が近くなり　待ち遠しく思う
深緑　鮮やかな
草木の輝き　彼女の舞、更に　引き立てる
紅と　山吹　穂先に　駆け抜ける秋風
彼女と　共に　舞い揺れる　紅葉の衣
稲荷山　お狐たちは　女神を　追いかける
尻尾(しりお...

【響】
音のない世界　僕独り
何もないよ　君の音すら
君の好きな音
僕にください
今　唄は何処にいますか　響いてますか
僕の耳に届けてください　僕　此処にいます
声のない世界　僕独り
何もないよ　君の声すら
君の好きな声...

「Devious　girl」
プレイボーイ　それは君のことで
私には手の届かない存在
それでも演じるの　あなたの理想
捻くれ少女の意地っ張り
知らないふり？　それは何時ものこと
あなた好みの悪女でしょ？　私は
慣れないマスカラ　ルージュを重ねて
捻くれ少女の見栄っ張り
本当は気付いて欲しいの...