人植物/精神の死か自由の死の切っ先
最近厚塗りばかりだったので、ちゃんとした線を描いてからその下のレイヤーで色を重ねていくようにしました。
兄さんに重なっている葉は透けている予定だったのに、葉の輪郭を浮き立たせるように最後に調整していたら、そんな細やかな気遣いはとてもわかりにくくなってしまいました。ちなみにその細やかな気遣いは、暗くてもともとほとんど見えなかったので、まあ…はい。
いつも自分の人植物は救いが無いですが、今回はさらに救いが無い気が。
研究所からの脱走か、この小さな通路の向こうで幽閉されているか。石で作られた壁面にあく四角い通路の先、日の射す場所があり。その光の中に手を差し入れたら、指先から植物が育ちました。
日の光に当たると、植物の本分を思い出し、その身体のどうしようもない機構から、元の形で育とうとしてしまうのです。
外には出たい、けれど出たら自分という意思の存在は無くなって、この世に生える一片の草花になるだろう。ここに自分を閉じ込めている人たちは、自分をそうさせないために暗い部屋から出さないのか、それともこの解放的な檻があるからこのような通路が堂々とあるのか。
幽閉されている情景なら、毎日日の当たるギリギリのところまで来てこんなことをしている気がします。
脱走なら、それも手助けしてくれた所員がいてくれたとしたならなおさら、後ろにも退けない、けれど前にも行きがたい。ああどうしよう、どうしよう。後ろから今にも足音が聞こえてくるのだろうに。
兄さん…いつもこんなんでごめんなさい…!