人植物/精神の死か自由の死の切っ先
最近厚塗りばかりだったので、ちゃんとした線を描いてからその下のレイヤーで色を重ねていくようにしました。
兄さんに重なっている葉は透けている予定だったのに、葉の輪郭を浮き立たせるように最後に調整していたら、そんな細やかな気遣いはとてもわかりにくくなってしまいました。ちなみにその細やかな気遣いは、暗くてもともとほとんど見えなかったので、まあ…はい。
いつも自分の人植物は救いが無いですが、今回はさらに救いが無い気が。
研究所からの脱走か、この小さな通路の向こうで幽閉されているか。石で作られた壁面にあく四角い通路の先、日の射す場所があり。その光の中に手を差し入れたら、指先から植物が育ちました。
日の光に当たると、植物の本分を思い出し、その身体のどうしようもない機構から、元の形で育とうとしてしまうのです。
外には出たい、けれど出たら自分という意思の存在は無くなって、この世に生える一片の草花になるだろう。ここに自分を閉じ込めている人たちは、自分をそうさせないために暗い部屋から出さないのか、それともこの解放的な檻があるからこのような通路が堂々とあるのか。
幽閉されている情景なら、毎日日の当たるギリギリのところまで来てこんなことをしている気がします。
脱走なら、それも手助けしてくれた所員がいてくれたとしたならなおさら、後ろにも退けない、けれど前にも行きがたい。ああどうしよう、どうしよう。後ろから今にも足音が聞こえてくるのだろうに。
兄さん…いつもこんなんでごめんなさい…!
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七夜月
ご意見・ご感想
初めまして、七夜月という者です。
ひょんな事から人植物の世界に出会ってしまい、その中でも一番心惹かれた絵がこれなので、こちらにコメントさせて頂きたいと思います。
あんな細い指先から育っているのに植物があまりに元気で美しく、植物としての彼は本当に太陽を求めているんだなーと感じました。
どんどん上へ上へと、太陽に近づくように。それなのに彼は腰が引けたような姿勢で出ることができなくて。
ああ・・・何だかジレンマみたいなものを感じますね、もどかしい感じ。
表情が困っているような怯えているような、その中にも好奇心とか進んでみたい欲望的なものを持ってて、そんな表情を描ける月條現矢さんは凄いと思います。
「外に出たい」という気持ちが全て植物としての本能によるものなのか、それとも人としても太陽を求めているのか、が個人的には非常に気になるところです。
下の方でのコメントを見ていて思ったのですが、担当者さんがいるとするなら彼を愛している人なんでしょうね。
服は破れたりしてボロボロなのに髪だけはきちんと梳かしてありますよね、彼。
「ごめんな、ごめんな」なんて言いながら毎朝髪を梳かしたりしてるんでしょうか、なんて妄想してしまいます。
外に出たいって言う彼を止める事ができなかったのかな・・・?
出たら人の心を亡くして植物に「戻って」しまうことも、彼が陽の光を求めていることも全て知ってて、自分の処罰も覚悟の上で、彼をこの通路に送り出してくれたのでは、と私は思ってしまいます。
「出るのを止めるなら帰ってきていいんだよ。君の好きなようにしていい、僕は止めない」とか言って。
前に踏み出すのか、後ろに帰るのかは計り知れません・・・奥が深い絵です。
長文で、しかも月條さんの世界観と違ったことばかり言っていると思います・・・すいません。
でも私の思ったことをどうしても文字にして伝えたかったので書かせていただきました。
いつか思い余って月條さんの絵や文章を小説にしてしまうかもしれません・・・よ、よろしいでしょうか・・・?
ご覧の通り、かなり拙い文章ではありますけど・・・その時には愛を込めて精一杯書かせていただきますので、何とか許していただけると嬉しく思います・・・。
それではまた。これからも陰からひっそりと応援していきたい所存です。
2009/02/16 13:48:50
月條現矢
ご意見・ご感想
うわ、うわ、こんなに嬉しすぎるお言葉ばかり頂いてしまって…幸福を使い果たしている気もします…!!
ストーリーを考えながら描いた身として、映画のワンシーンのような…と仰っていただけることは、光悦ここに極まれりです。
我ながら不思議な質感の絵になったなーと思っていたのですが、まさかの「陶器」…!陶器・磁器肌好きとして、なんと嬉しすぎるお言葉…!頭の中で、ここはこう、ここはこう、と決めてから描き、そんなこだわりが本当にお伝えできたのだと思うと、たまらない気持ちになります。
そしてまさかのフェティシズム(笑)。いいじゃないですかセクハラ!(問題発言)…ゴホンゴホン。そんな「衝動に駆られる」だなんて、絵描き冥利につきます…!諦めたり諦めたくなかったり、色々ないまぜな気持ちを詰め込んでみた絵ですが、水中でごわごわと縺れる感情が揺らした波が水面にうっすらと浮かぶときの色気というか、そんなものを出したかったのです。それをそんなに汲み取って頂けたと言うのに、嬉しさを禁じえません。
…そして、まこづさんの文中の「劣情」に反応した自分の方がよっぽどセクハ…いえいえ何でもないです(笑)。
↓下に続きます。まさかの反則3連投ですみません(笑)。//
2008/08/10 18:13:46
月條現矢
ご意見・ご感想
↓上から続きました。//
拝読しながら、「そうそう、そうなんです!!」と首をぶんぶん縦に振っておりました。
植物ならその光の中に今すぐにでも身を投げ入れたいだろうに、けれど一個の「人」としての意識が、それをヒタヒタと拒む、吐息の燃え上がるような相反する気持ち…すごく救われない予感がします。
自由な監禁、そして自分の行動を見透かされているのかただの放置なのか読み取れない人々の意図。「人」としての意識が身体を形作っていくごとに、戸惑いが大きくなっていくのでしょうか。
「唯一の無邪気で劣情を誘う遊び」…その素敵さに眩暈がします。ときめきすぎます…まこづさんってば何者ですか…!そして、「担当者」に心惹かれました。人の身を崩す真似を目の前でして、そしたらきっと彼は毎回慌てふためいてそれをやめさせるのでしょう。どこかいかがわしさを窺わせる行為を見せつけながら、やめさせる、というのが、どういう気持ちから来ているのか知りたい…と無意識に思っていたKAITO。段々と職務だからではなく愛しさから彼の身をとどめたいと思う担当者。KAITOはいつか外に行きたいと思い、担当者はそれを叶える為にわが身を捨て、彼を逃がします。そして辿り着いた出入り口、いつか何度も彼の前でした行為と同じ状況、けれどそこにいるのは自分ひとり。…うーんヤラしくなってきた気がします。
伸びた植物、そうですよね、枯れてしまうんでしょうか…。けれど、日陰に戻った瞬間に枯れるのなら、指先だけが枯れ、陽射しで区切られた向こうに生き生きと色づいた茎は残るのかもしれません。KAITOがそのまま外に出ないことを選んだのなら、せめてその一欠けらが地に根付いてくれると良いのですが。
↓下に続きます。//
2008/08/10 18:12:29
月條現矢
ご意見・ご感想
↓上から続きました。//
すみません、ときめきすぎてどうしようです…!まこづさんとお話していると、こう、心の奥底から沸き立ちます…!そして、そんなにも人植物を解体したいと仰ってくださるだなんて、嬉しいと言う言葉では言い尽くせません!
もともとはひっそりと始めた人植物を、こんなに育てられたのは、好いてくださった方々の、まこづさんのおかげです。色々な人のお心を頂いて絵を描けました…けして私一人でできたことではないです。なので、いつも思っておりますが、とてもありがとうございます!
そして、色々な人が人植物を描いてくださる中、私の絵が好きだと仰ってくださると言うのは…とても、とても嬉しいです。そのことにも、とてもありがとうございます。
2008/08/10 18:10:48