hello(‘◇‘)鏡音廃です。 イラストや文章を少しの角砂糖と共に。狂気のスパイス仕立て。
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クライシス・エレクトロニカ
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バタン、と戸の閉まる音がした。それに反応して目蓋が開く。
……戸はしっかり閉めたはずなんだけどな。
視線を移すと、黒い影が揺らめく。僕によく似た。
「どうした、リン」
目をこすりこすり、口を開く。
「一緒に寝よう、レン」
いきなりその影が首元に飛び付いてくる。泣いているみたいだ。
「ば、馬鹿、いてー...ティントとシェードの狭間
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「暑っ」
かかっていた毛布を翻して身体を起こす。
僕は暑さに負けて起きた。午前二時、初秋の夜。
まだ毛布は早すぎたのか、いや、触れる空気は冷たいのに。
ふと視線を落とすと、僕によく似た顔がやけに紅潮している。
「リン」
起こして良いものか悪いものか、恐る恐る発した声は闇に吸い込まれた。
暑かったのは...袖ひちて結びし水
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「疲れたの」
長く澄んだ色の髪を弄びながら、彼女は言う。
「僕もだよ」
そう口に出して僕は、閉ざされた暗い部屋の電灯を点けた。
「寝なさい」
彼女の柔らかい髪を撫でて、睡眠を促す。けれど彼女はうなだれたまま。
「お兄ちゃん」
「何?」
「歌うって、楽しいことなの?」
僕の顔を捕らえた彼女の目は、酷く...青緑色の哀しき絶対音感
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隣の部屋から嗚咽が聞こえた。
そっと戸を開けると、見慣れた薄い黄色の電子回路を取り付けた彼の背中。
私はふいに唇を動かした。
「レン?」
震えた彼の声が響く。
「充電中だか、ら、来るな」
静かな電子音が、まるで彼の心音かのように静寂に抗っていた。
時々起こるノイズが彼の脳内を痺れさせているみたいで居...エレクトロ・ルミネッセンス
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音符と君の二重奏
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エレクトロニクスと銀色の破壊
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鏡音リン【dot】