タグ「初音ミク」のついた投稿作品一覧(20)
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官能的な話をしよう
白いルージュの三日月
淋しがり屋の胸の内
どうせ明日には終わるのさ
浴槽に無様に横たわって
ビジネスライクな呼吸で同調
古典の教科書に載った口説き文句で
お月見なんざ趣味が悪い
ああ いや うん ああ
星さえ騙くらかして...酩酊
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夜を嬲っても
落ちた参列 君だけ置いて
飲み下した月が喉に落ちていく──
残光 残響 一瞬の閃光
朝靄に連れ去られた可惜夜の涙
燻り出された灰色に
埋もれた春の肋骨
蜉蝣は吐いた 「浮舟は何処に?」
空蝉の流れに逆らい
雲漏れ月の日脚を駆けて...月籠り
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装填 既に済んだかい
お祈り とっくに捧げたかい
組んだ両手で握った銃で
夜中の鐘を打ち鳴らす
だまくらかした唇に
銃弾の雨が降るでしょう
烏も黙る路地裏で
弾丸だけがお喋りに
毎夜のように朝が来て
毎朝の如く夜(よ)が迎え...耳を削ぐ
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一番街に蝉時雨
酔いどれ説法 同胞(はらから)同士
四畳半も六畳に上来に
安泰には連帯責任 アンタには延滞料金
さっさと落ちてくれ 黒竜胆の雨が降る
釈迦も如来も言うことにゃ
「こりゃ明日にゃ世界も滅亡や」
駆け付け一杯で酒三昧
「滅んじまえばよかろう」と!
嗚呼 二進も三進も行くまいに...キバイリ
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難しい言葉で語られた世界の
隙間に注がれた諦念を
集めて重ねて 引き裂いて
それでも水溜りは濁らない
悲しい憶いで紡がれた叙事詩の
白紙に込められた永遠を
開いて破って 引き裂いて
それでも月灯り 遣る瀬無い
憧憬に見せられたまやかしの
ざわめきに染められた頽廃を...頽廃はカタストロフィ
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君が触れたものぜんぶ輝いて見えた僕の目を笑うかい
君が想うものぜんぶ煌めいて見える僕の心を笑うかい
君が愛するものぜんぶ愛おしく思う僕の愛を笑うかい
笑うかい 笑うかい?
笑ってくれたら それでいいよ 僕は
むせ返る静寂も茹だるほどの淋しさも
透明な装いに春はいつか身を窶して
甘やかな爪先が夜のどこ...孤り言
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頽廃した肺に
双眼(ひとみ)には翳付き
鮮やかな獣は踊る
燃え盛る修羅の指
命に針を落として
廻る 廻る三日月
嗚呼 さらば暖冬よ 刻(とき)は忘れじ
淡々吐き出す歓楽も
世には果にて露と化す
月に水注げども...青星歓楽街
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懐古の灰が注がれるとき
胸には銀の花が咲き
敬虔な日々が欺かれれば
慈しみさえ空虚でしょう
凡ゆる日々が愛を喪い
羨道辿る束の間を
夢のようだと微笑むならば
この痛みさえ明日の夜に
目蓋つんざく残光を
睫毛を撫ぜた弔いを...君が大人になる頃に
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君の隣で
一歩踏み出すための勇気を
二歩踏み出すための強気を
三歩踏み出すための根気を
君の隣で
五歩踏み出し始めた意気を
十歩踏み出した頃の陽気を
百歩歩いていたら消えた弱気も
君の隣で
千歩歩き続けて行ける呑気も...はじめのいっぽ
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僕のいない世界が見たい
それはきっと美しい
腐った水槽洗われて
沈んだ白紙は溶け消えた
あまりに朽ちた草花も
どうやら実りはないようだ
僕のいない世界に期待
それはきっと美しい
暗く澱んだ溜息も
湿ったシーツの重たさも...僕のいない世界は美しい
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ぼくの言葉は借り物です
日本語はぼくのものじゃないし
言葉はぼくのものじゃない
いつも有り難くお借りしてます
これからも何卒よろしくどうぞ
君のことが好きだって
言いたくないから抱きしめた
借り物の言葉で生きてます
下手くそに集めたガラクタ風情
今日も君に話しかける...言葉は借り物
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「愛することは本能です」と
謳う奴らの頭に咲(ひら)け
手首突き破った菊の花
愛には愛を 慈愛には慈愛を
不快に対抗を 敵意に嘲笑を
愛してくれない者を愛すな
愛してくれる者をこそ愛せ
「愛することは本望です」と
笑う奴らの胸に開け
心臓に咲いた薔薇の花...相義理
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幸福なあなたよ 死んでくれ
ただ君の胸にある生が
悲痛に踏み躙られることがないように
どうかあなた 幸福なあなたよ
幸せなままに 死んでくれ
平穏のままに 死んでくれ
微笑みとともに 死んでくれ
僕の隣で死んでくれ
幸せだと言ってくれるなら
どうかあなた 愛しいあなたよ...幸福な君よ、死んでくれ
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脳細胞は諦めました
有象無象の夢想は許そう
ただし時計の針は戻そう
そういう規約を立てておこう
愛しさと食欲は似ています
悲しさと微睡みは似ています
瘡蓋と口付けが似ているように
空腹と淋しさは似ているように
僕は死ぬように眠りに就きたい
将来像は尽き果てました...きれいなせかい
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大好き だから お別れをしよう
大丈夫 すぐに発つよ
お迎えが来たんだ 明日の向こう側から
今日から君が僕の心臓になる
春の陽射しのように 君を愛してもいいかな
夏の木漏れ日のように 君を愛してもいいかな
秋の日向のように 君を愛してもいいかな
冬の月光のように 君を愛してもいいかな
愛してる だか...お別れのうた
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痛みに似た 月を見てた
瞳には あてもなく
静寂を射た 灯火を忘れる
どうにも雨は 降らないようで
傷が重くて 瞼を閉じた
飽きもせず 祈っている
ひどく朧げな あの小指が
つなぐ 夜の約束
君を 見つけた
息をする 鼓動の奥に...みつき
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明日に少しだけ近付いていた星月夜
君が好きだと言った本を読み返してる
「もし僕が一冊の本だったなら
最後の頁は君で埋めるよ」
きっと僕ら幼すぎたんだ
朝顔の中で眠っていようとしてたね
月光が寄り添って 夜風は立ち去って
立ち尽くす足に雲漏れ月
透明な装いをした別れが君の手を引くから
朝露など残さな...月が綺麗だったから
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1.
疑問奇問自問試問
なんでどしてナゼなにゆえに
少年よ大いに悩めとふんぞり返った大人が言った
あいつらきっと分かってねぇんだ
何が正解何が不正解?
昨日と今日とで返事が違う
去年言われた通りにしたら
今年はこっぴどく叱られた
大人の言うことを聞け...学徒
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1.
言葉に埋もれたままの僕を
見つけてほしくて ひとり 星を眺めた
夜空にちりばむ あの一つ一つにも記号があるのに
この感情ひとつの 名前を知らないでいる
恋というには深すぎて
愛というには浅すぎる
この手で握られるのは
鉛筆とノートと それから君の手
2....名のない感情のうた
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1.
彷徨った夜も いつか 乱暴な朝を迎え
暴力的な光の指に誘われるときが来て
昨夜読んだ悲しい本の 結末を反芻したりして
ああ
明日が来なければそれでいいと 蹲った闇は去り 僕は大人になった
月に指かけるように かけられるように 引き留めた夜は終わる
この眼はひとりだと くだらないことばかり眺めた...我儘