葉月 零の投稿作品一覧
-
歌うことが大好きだけど
知らない言葉がいっぱいあるから
勉強をして覚えなきゃ
マスターお願い
言葉を教えてよ
猪突妄信
五十歩十歩
七転罵倒
相死相哀
溺れる者は儂をも掴む...レンくんは14さい
-
眠りについた森の奥深く
誘われては風が舞い降りる
静けさに独り咲くは幽し色調(トーン)
水面に揺れる睡蓮は
何を焦がれ
霞みゆく月を仰ぎ見るのでしょう
浮いては綻ぶ花弁(ノート)の羅列
黙した夜に並べようとも
誰の目にも留まらない独奏歌
眠れぬままの寂しき湖...連奏歌
-
澄んだ声は
雑音(ノイズ)に潰されて
誰の耳にも届くことなく虚空に溶けてゆく
「環境の為」と
またそんな偽り吐いて空を削り取るの?
『快適』を求めた先で
幾つもの生命が闇に呑まれていく
人間(僕達)が得るものだから
その報いは人間(僕達)が受けるもの
キミの痛みを僕に分けてよ...再び飛び立てる日を・・・
-
零れ落ちた夢は遥か遠く
この手に触れた花弁(かけら)は全て溶けて
色の無い雫が頬を撫でる
沈む哀しみは陰に埋もれ
滲む虚しさが胸を覆う
震える喉がこんなにも痛い
掴めそうで 掴められず
枯れ木に咲いた白い花よ
寂しく凍えるこの世界に
僅かな彩りを添えておくれ...冬の花
-
紺碧の空が紅く染まり
紅(くれない)の空に闇の帳が下ろされる
静寂の中
吹いては巡る風の音は
皆(みな)を眠りに誘う子守唄
朧げな光の下
水面に映る僕の姿は
一片の葉で広がる波紋に揺れて
曖昧なものになる
ここに僕は居るでしょうか?...月の唄
-
移ろって
彷徨って
また迷い込んで
ずっとずっと出口を探して
此処が何処かなんて知らない
進む道が何処に通じてるのかも解らない
でも、この足が赴く儘に 思うが儘に
いつの間にか入り込んでいた迷宮は
分かれ道ばかりで行き止まりは無い
次は右? 左?...迷宮の果て
-
生い茂っていた緑は枯れ果てていき
寂寞漂う砂が拡がるばかり
そこには花(いろ)も水(おと)も無くて
ただ虚しくて
私の存在が恨めしい
この躰(み)が纏う熱は
皆の夢を挫いてしまうの
期待も望みも与えられない
淋しい大地は何処まで続くのだろう
嗚呼……夜が明けようとしてる...太陽の唄
-
晴れた日の大空に
雲の無い青空を
誇りの翼を広げて飛ぶ
穢れた翼で黒く汚(よご)す
誰か見てよ
誰も見ないよ
ほら、美しい色だろ
...鴉の唄
-
瞳に映る色はどれも緋色で
まるで全てが残像のよう
憎悪の世界に俺は生きている
この手触れたモノ 引き裂きそうで
怒りを悟られないように
瞼を閉じて 君の笑顔を思い浮かべるから
この夕焼けも
今では何も寂しくない
限りなき未来に想い馳せて
俺は君に届けよう...緋色の唄
-
瞳に映る色は全て灰色で
まるでどれもが虚像のよう
曖昧な世界に僕は生きている?
この手触れるモノ 消え失せそうで
哀しみ悟られないように
瞼を閉じて 君の言葉を思い浮かべるから
この朝焼けも
今では何も怖くない
限りある生命(イノチ)に光を灯し
僕は君に送ろう...灰色の唄
-
昏い昏いヨルの下
風のオトしか聞こえない
ここは何処なのだろう
僕は何処にいるのだろう
独りで何処に行くのだろう…
昇る陽の光に身を焦がされるぐらいなら
地下深くにでも潜りたいよ
外の世界など見なくていい
ただ静寂さえ傍にいてくれたら……
冥い冥いヤミの中...蝙の唄
-
◇ 貴方に逢えて私は ◇ ◆ 君に逢えた事で僕は ◆
◇ 忘れかけていた笑顔を ◇ ◆ 失いかけていた笑顔を ◆
◇ 思い出す事が出来ました ◇ ◆ 取り戻す事が出来たんだ ◆
◇ 世界、覆う闇に ◇ ◆ 世界、包む闇に ◆
◇ 切り...紙飛行機 ~邂逅~
-
病室に戻った私は、ベッドの上で彼の手紙を眺める。
何度も何度も読んだ文章。
それでもその度に心が温かくなってくる。
何だか頬まで火照ってきたみたい。
貴方の事を考えると、いつもこうなるの。きっとこれが、“恋”というものなんだよね。
私は手紙を口元に当て、小さく笑みを零した。
――――バッ。
「パパ…...紙飛行機 ~PartⅢ~
-
前日の検査では、お医者さんが難しい顔をしてその結果を見つめていた。何も言ってはくれなかったけど、それだけで私の体が悪い方へ向かっている事ぐらい十分分かる。その夜に来てくれたパパが、またいつもの一言を言ってくれたけど、良くなる可能性なんて無いって事分かってるんだ。
諦めにも似た絶望を心の奥にしまい込み...紙飛行機 ~PartⅡ~
-
ある時代の、ある場所に、一つの病院がありました。
戦争により土地は荒れ果て、蔓延する疫病。治癒する術は未だ見つかっておらず、その病に冒された者は皆、そこで一生を過ごす事になっていたのです。
そして、私もその内の一人。
他に誰もいない個室で、毎日ベッドの上。たまに来る看護師さんは、医療機器を少し調整し...紙飛行機 ~PartⅠ~
-
夜の闇に包まれていく 紅の空
一つ、また一つと消えていく 人の影
皆みんな家路を辿る
『おかえり』の言葉求めて
『ただいま』の言葉抱えて
最後に残るのは いつも僕一人
心の中で呟く『ただいま』は誰にも届かない
月は佇み 仄かに闇を照らす
夜空に冴え渡った 涼やかな虫の音
それは切なく耳に響くだけ...秋の宵
-
翌日。
独房に三人の看守が入り込んできた。
そして突然二人が僕の両腕を拘束すると、もう一人が何かを探し始める。
数分としない内に、その看守はベッドの下が不自然である事に気が付いた。
「ここか…」
彼女の紙飛行機(テガミ)を全て掘り出し、僕の目の前に持ってくる。嫌な予感が胸をざわつかせた。
「こんなも...囚人 ~PartⅢ~
-
翌日。
僕はいつもの場所に向かい、誰もいない柵の向こう側へ紙飛行機を飛ばした。
二人を隔てるこの“カベ”を超えていけるように、高く、遠くへ。
返事が返ってくるかなんて分からない。あの子がここへもう一度来るという保証だってないし、たとえ来たとしても、読まれずに破かれてしまうかもしれない。
期待と不安が...囚人 ~PartⅡ~
-
ある時代の、ある場所に、一つの収容所があった。
そこへ連行されるのは、差別を受けているとある部族。老若男女問わず、全員が強制的に連れて行かれた。
そして、僕もその内の一人。
檻の中に閉じ込められ、看守の気紛れで暴力を受ける日々が続く。身体中に痣を作り、床に染みが出来るほど血を流した。その痛みが疼いて...囚人 ~PartⅠ~
-
朱に染まりゆく秋の空
暖かみある落ち着いた色
凍てついた心 溶かす色
夕暮れに羽ばたく鳥の翼
沈みゆく陽に鳴いた声
終わる一日 告げる声
閉じられる今日という日
開かれる明日という日
違う一日 新しい時間
だけど同じ一日 変わらぬ時間...秋の暮れ
-
青く透き通る空を見上げ
右手を伸ばしてみたけれど
あの雲に届くはずもなく
この手は冷たい風を掴むだけ
紅く色鮮やかな葉を眺め
記憶を手繰り寄せてみたけれど
あの頃に戻れることはなく
この胸は寂しさに埋まるだけ
『綺麗だね』
そう言ってくれたのに...秋空