投稿作品6作品
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『はじめまして』と言われた時のことを、今でもよく覚えている。
少しハスキーで、でも、心地の良い声。
それから、まるで牡丹の花が開くような笑顔。
『ルカ、って呼んでいいのよね?』
少し首を傾けて、髪がさらりと零れた音さえ思い出せる。
『私はメイコ。よろしくね』
そういって差し出された手と握手をした時の...『甘い生活』
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みんないるのにだぁれもいない。
ふしぎふしぎね。
みえているのになんにもみえない。
ふしぎふしぎね。
あたしはずっとここにいるよ。
みえるのをまっているよ。
あそこにいるのにだぁれもしらない。
ふしぎふしぎね。
みえているけどきづいていない。
ふしぎふしぎね。...ふしぎ ふしぎ
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祈りに似ている
それはある曲の旋律であったり
胎児の眠り方であったり
音もなく降る雪であったり
あなたの心臓の音であったり
祈りに似ている
それはある日の夕暮れであったり
人の歩く速度であったり
遠ざかる飛行機であったり
あなたの寝息であったり...祈りに似ている
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ねこが空見てあくびする
ぽかぽか縁側 ひざの上
なでるその手が優しくて
今起きたのにまた眠る
今日は本当にいい天気
ぽかぽか縁側 おばあちゃん
なでるその手がふと止まり
こくりとひとつ舟をこぐ
通りかかった孫娘
ぽかぽか縁側 ねこと祖母...縁側物語
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『世界』という名前の。
『世界』という形の。
『世界』という『世界』。
それは僕を喜ばせるもの。
それは僕を怒らせるもの。
それは僕を哀しませるもの。
それは僕を楽しませるもの。
破壊したいと思うもの。
創造したいと思うもの。
広く果てがないもの。...その名は。
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彼や彼女の頭上には
愛しさが降ればいい
雪や雨や桜や紅葉のように
愛しさが降ればいい
いつか私の上にもと
誰かが願ってくれるなら
私は大声で泣くだろう
彼や彼女の頭上には
愛しさが降ればいい
羽のように優しくふわりと...愛しさが降ればいい