rirakaの投稿作品一覧
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「行ってきまーす」
「行ってらっしゃーい」
「頼んだぞー」
十二月三日午前十時。関東の冬特有の寒い晴天の朝、勇馬と信一に見送られ、みずきはいつもの様に自転車に乗ってお使いに出掛けた。行き先は、音楽ソフトで有名な隣町のデパートだった。
「ったくもう…勇馬と言いマスターと言い乙女の扱いが荒いったら……」...桜吹雪 第一章 1 「リク」
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何百ものピンク色の桜の花弁が、風に乗ってみずきの足下を舞った。
ふと、花びらが一枚、その小さな嵐からはずれ、みずきの頭の上まで舞い上がった。みずきは片手を伸ばし、親指と人差し指でそれをつかみ、じっと見つめた。
桜の木の下に一人佇むみずきの横を、何組もの幸せそうな人々が通り過ぎていった。皆が皆、幸せそ...桜吹雪 プロローグ
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プロローグ
私はユキちゃんの本当のマスターじゃない。
ユキちゃんの本当のマスターは私の姉の琴音だ。
……と言うより、琴音だった…と言った方が良いかもしれない。
私がユキちゃんを見つけたのは、琴音が死んでから一週間後だった。元々病弱だった姉は、肺炎で十七歳の時亡くなった。
琴音が死んだと聞いて、父と二...小春日和。 プロローグ
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登場人物
歌愛ユキ
VOCALOID。子供。好きな物は皆の笑顔。
琴音(ことね)
十七歳の少女。ユキのマスター。
鈴音(すずね)
十四歳の少女。琴音の妹。十歳の時両親が離婚して琴音とは離ればなれになっていた。...小初日和。 登場人物
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登場人物
歌愛ユキ
VOCALOID。子供。好きな物は皆の笑顔。
琴音(ことね)
十七歳の少女。ユキのマスター。
鈴音(すずね)
十四歳の少女。琴音の妹。十歳の時両親が離婚して琴音とは離ればなれになっていた。...小初日和。 登場人物
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C O P Y Episode02 『マスターと鏡音』
今まで上も下も右も左も、白も黒も赤も青もなかった私達の世界が、突然風景を変えた。
私達が、私達の世界から放り出された、と言った方が正しいかもしれない。
その世界は方角や色を持っていたばかりではない。仲間と、そして歌う場所があったのだ。
「初め...C O P Y 02 マスターと鏡音
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C O P Y Episode01 『本体とコピー』
嬉しかった。
コピーとしてこの世に生まれてからもうどの位この箱の中に閉じ込められていただろうか。
何日、何ヶ月……いや、もう一年ほどになるかもしれない。
やっと、歌える時が来たんだ。
「レン」
無の空間の中で、隣にいるはずの弟に呼びかける。
上...C O P Y 01 コピーと本体
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C O P Y
設定
VOCALOIDには本体とコピーがあって、ソフトとして売り出されているのはコピーである。
ソフトなので自殺は出来ない。
調教とは、VOCALOIDたちにとってボイストレーニングを意味する。
(一番分かりにくいところ)マスター(三次元)にとって、ボカロは厚みのあるソフトであるが、...C O P Y 00 設定
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「リン」
先に口を開いたのはレンだった。
「・・・・・・」
リンは無言で答えた。
「リン・・・」
「何で」
「え」
「昨日はあの子で今日は・・・」
「ああ、あれ?」
レンは、目を見開いていった。...アフタースクール4
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トイレの窓から出て行った。
小柄なリンにとっては、そんなに難しいことではない。
出たところで見たのは、なんとレンの後ろ姿だった。
とはいっても、10メートルは距離があったけれど。
レンはもう葉だけになった桜の木の下にたっていた。
――――――レンもサボり?
甘い期待を抱いていたのだ。
リンを探してい...アフタースクール3
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どうやってベッドに入ったか覚えていない。
いつの間にか一人になっていて、夕ご飯を食べ終わっていて、お風呂に入っていて、いつの間にか、リンはベッドの中にいた。
机の上の携帯がなった。画面に、亜北ネル、とでている。
一瞬、全て話そうか、と思った。
どうにか思いとどまったのは、ネルもレンが好きだということ...アフタースクール2
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あ・・・
リンは、入りかけた教室のドアを閉めた。
放課後の廊下は、暗くて、寂しかった。
その廊下を駆け抜けながら、思った。
私は、なんて馬鹿なんだろう、と。
リンは、家に着いてもさっき見たことが信じられず、
「どうしたの?顔色悪いよ?」
というミクの問いにも
「大丈夫・・・」
と、上の空で答えた。...アフタースクール