どうやってベッドに入ったか覚えていない。
いつの間にか一人になっていて、夕ご飯を食べ終わっていて、お風呂に入っていて、いつの間にか、リンはベッドの中にいた。
机の上の携帯がなった。画面に、亜北ネル、とでている。
一瞬、全て話そうか、と思った。
どうにか思いとどまったのは、ネルもレンが好きだということを思い出したからだ。
リンの親友のように。
今度は、誰かが階段を上がって来た。
ドアが開いて、メイコが顔を出した。
「リン」
リンは、布団を頭までかぶって、返事もしなかった。
「リン、今日・・・」
息も止めていた。
あきらめたようなため息をつき、メイコは出て行った。
心配かけちゃったかな・・・
リンは思った。
そう、夕食の時、いつも一番うるさいリンとレンが、一言も口をきかなかったのだ。
お互いだけでなく、他の誰とも口をきかなかった。
二人が発した言葉はと言えば、「いただきます」と、「ごちそうさま」だけだった。
あーあ・・・
リンは無理矢理まぶたを閉じた。
眠れる訳が無い。
次の朝、リンの目の下には大きなクマができていた。
それでも、リンは登校した。
レンとは、違うクラスだったから。
いつもレンと一緒に通っていた道は、一人だと数倍長く感じられた。
学校につくと、校門の前にあの子がいた。
昨日、リンが見ていたことを知っているはずも無いのに、下を向いて歩いた。
彼女の前を通ろうとしたら、
「ねえリン」
と、声をかけられた。
「何?」
思わず、ぶっきらぼうに答えてしまった。
彼女はリンの様子なんかには気づかず、聞いた。
「レン、どこにいるか知ってる?」
レン―――――・・・?
リンの思考が一瞬停止した。
この前まで、レン君って呼んでなかった?
いつの間に、そんなに仲良くなってたの。
やっぱり、昨日、あそこで――――――?
「知らない」
そう答えるだけでやっとだった。
トイレに駆け込み、涙が止まるまでずっとそこにいた。
チャイムが鳴っても、出て行かなかった。
初めての、サボりだった。
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