ｓれぞ

知らないぬくもりにかわるがわる侵される
使い捨て
流行りの髪型が揺れるのをあたしは見てた
もしもあなたが泣くのなら
素直に絶望もできただろう
赦せなくなってしまったのは
きっとあたし自身のせいだから
1億通りの笑い方ができて凄いね
ほら見て、あなたに似せて作られたの
失敗作よ...

夕立
溶ける雲の隙間
鮮やかな虹を見つけた
君の髪揺らす風の形
はっきりと今はわかる
そんな夏　君を見つめてた
そんな僕を君は見つけた
遠い目のままで僕の手をぎゅっと強く握る
どこかで雷鳴
その手を離さない...

少し前を歩く後姿
見慣れたハズの君が春の色
日曜午後 いつもの電車が
空っぽのまま 町を抜けていく
僕を急かすように駆け出し
振り返る微笑み
今
きらきら見えている
風に舞う
君と踊るように...

赤とんぼ
笑って君を見てるよ、ほら
何色？
つないだ指先
一億数千万分の二
赤い、赤色
その色は何色？
橙色帯びて風が走る
赤とんぼ
笑って見上げた空は、ほら...

昨日おかしな夢を見たんだ
見おとしたの君が隠した想い
昨日溶かした記憶の中の　
記号と化した君の名前を
　
探しに出かけて迷子になって見つけたんだ
大きな向日葵を
両手を伸ばして見上げたら、ほら
ひろがる夏空
振れ合った鼓動をこの胸は憶えているよ...

屋上からは見つからない
東の空が黄色く濁る
今日が始まるよ
君の横顔が照らされて、汚されたような気がした
忘れたい事は山のように増えていくけど
そのぬくもりだけ忘れたくないのに
君はただの２７歳
引き金を引いて
教室からは見つからない
茜の空に胸が高鳴る...

「テトラポッドってあるじゃない？
吸い込まれて出られなくなってしんじゃうらしいよ」
君は笑って言った
僕は苦笑ってしまう
制服が好きなのか
君が好きなのか
夏が終わって忘れるような事ばかり積み重ねて
あー真っ青
おいてけぼりの、さようなら
８月の雲は高く高く...

見上げたら星空で
白い息吐いてみる
ポケットから手を出して
伸ばす気すらない
どれだけの光束ねたら
遠ざかる速さに
追いつけたのだろう
もう届かない
あんなに近くに見えていたのに
離れてゆく程...