あたわめ

海の底から見える水面の光に
僕は願うんです
「いつかの彼女は逃げ出せていますように」
それが望みです

散らかった珊瑚と君の温もり
覚えていますか？　僕が生きていたこと
声が枯れるほど共に　叫んできたことを
いつか日が沈むように　忘れられるとしても
君の心にずっと　生きたい...

虚づいた果実　渇欲の誘い
錆びついたベッド この小さな箱庭だけが居場所
刻み込んだ 額の印 忘れないで
探してるの あなたの残した あの言の葉
神様は私のことなんてきっと嫌いだから
色褪せた事実 消えゆく嗚咽
崩れ去る楽園の 記憶
さあ、行こう
遠く離れ 東の街まで
さあ、歩め...

シュヴァルツシルト半径内
誰かの声がこだましてた
舞い降りた天使のように涙を流した
漸近するディング・アン・ジッヒ
孤独色が咲き乱れてた
悠久の向こう側をそっと見てた
生きること 苦しいこと 誰かを愛すること
ドミナント無視したまま振り返れば
ザッハトルテ この世界には
不確かなものばかり...

いつか私はどこか遠くに
一輪花があることを信じてた
当て所ない旅　続けるうちに
知り始めた　現実の理を

黙した世界　騒ぐ静寂
痛みだけが優しく頬を撫でた
表情のない君の瞳が
貫くのは何ものでもなかった
声のする方を向く　幻が惑わす...

瞼を開いて
受け取る表象
プログラム通り
私の思惟した君
真実は感性の向こう側
私は虚像を愛でた
アポステリオリな知識たちが
私を慰めてく
解釈という名の構築はとても
儚く崩れて砂になるの...

夕焼けに染まる空　ふたり手を繋ぎ
悲しげに見詰め合い　優しくキスをした
それぞれの思い出に　影が伸びてゆく
不安げな瞳には　孤独がざわめいた
手を振り　遠くへと離れるほどに
愛しさ、寂しさ、募って涙する
見上げた空に　光るあの星のように
見守っているからね
挫けてしまいそうになったときには
思い出し...

　1A
いつもと変わらない朝だけど
ちょっぴり違っているの 私の心の中が
あなたが好きだと気づいちゃって
なんだかソワソワして いてもたってもいられない
　1B
コーヒーにシュガーを多めに入れて飲んで
恋の味よりも甘いかもなんて
考えて恥ずかしくなったぶんだけ
あなたにもっと近づけたなら...

淡い夢の波に揺られては
あのときのあなたの声
何度もきいた
暖かな気持ちが
私を包み込む
どうか終わらないでよ
この幸せの幻
姿 現しては消えてゆく
灯火をつかみたくて
つかめないまま...