私たちを襲った、その脅威とはランブルウィードの盗賊団でした。誰もが幻想セカイの世紀末だと断言する危険地帯から、たまたま我が国の前を通り掛かったところでエンカウントしたのです。

 盗賊団の男たちは私たちを見て、こう言いました。

「おいおいっ、コイツはまさかの激アツじゃないのか?」そう言ったのはオオカミの毛皮を着た男です。おそらく、盗賊団側のリーダーでしょう。

「そうですねオヤジ。このガキんちょ3匹を誘拐すれば……」これは手下の男。体が小さくてもオオカミの毛皮を着ています。

「身の代金をたんまり要求できるぜぇ〜っ」

 彼らがそう告げてきたあと、私を含む少女たちの3人のパーティーは捕らえられてしまいました。緊迫した状況のなか、親友のリアーナは男たちに身体を抱えられ、馬車のなかへ容れられようとした際に……。

「おのれ、無礼者っ! キバいち族もどきの悪党め、イルヴァルスの秩序と規律を乱すな!」

「無礼者でけっこう王女さま。俺たちはワルだからな。悪ノ大罪なんか比にならないくらい、ヒャッハー! な悪党だぞぉーっ!」

 リアーナを抱えたキバ一族もどきのオヤジには、倫理観など持ち合わせていません。無秩序、無規律、国家権力に対し、退かぬ、媚びぬ、省みぬ……そう宣言するほど…完全な悪でした。

「なんというゲスじゃ!。そちの頭上に死兆星があらわれればよいのに……」

 こうして捕らえられた私たち3人は、馬車に乗せられてヒャッハーたちのアジトへ向かったのです。走る道が険しくなってきたのでしょうか、荷台の揺れが激しくなってきております。ゴトゴト ゴトゴトと車輪から伝わる振動が小刻みに震えてくると、私たち3人も恐怖で身を振るわせていました。

「ぼくたち、どこへ連れて行かれるのかな?」

「わからないわ、レオナルド……」

「すまぬな2人とも……妾のせいで誘拐されてしもうて……」

 そのときのリアーナは、今まで見たことが無いくらい気分を落ち込ませておりました。思い付きのせいで、こうなってしまったことを厳しく反省していたのです。

「ううん、いいのよリアーナ。それに私は……あなたたち2人と、冒険ができて愉しい」

 私から、リアーナとレオナルドに伝えたのは本音でした。

「メテよ……んっ!」

 3人がそうやって互いに顔を見合わせた時です。馬車の外から男性の声が聞こえてきました。

「止まるのだ、悪党どもめ。我が騎士団の姫君ならびに友好国の王女様とその召使を解放せよ」その声は私がよく知る者の声でした。

「なんだとこらっ、世紀末救世主のつもりか?」

 キバ一族もどきのオヤジがそう反論すると、もう一人……新たな男性の声が聞こえてきます。

「ロアのオッちゃん、ヒャッハーな野郎に解放なんて言葉は伝わらねえぜ」

「だが、ガイア……奴らは姫君たちを人質にしているぞ」

「まあ、待てよ。俺が奴らの要求を聞いてやるから……。おい、テメェらの目的はなんだ? この俺に言ってみろよ」

「なんだと?。ふん、俺たち悪党の目的はな! フォレスタ・キングダムとジャッロに対し、身の代金1億Gを要求し、ニンテンドーDSをたくさん買って転売するんだ!。どうだ! 悪いだろ! 悪ノ大罪より極悪だろ!。ぼったくり価格で売りまくってやるからな!」

「ニンテンドーDSだと……?」

 新たに聞こえてきた男性の声は、DSという言葉を聞いて静かに呟いていました。まるで内なる怒りを抑えているかのようでした。
 そして……名をガイアと呼ばれた男性は、こう言います。

「テメエら男ならよ……携帯機はDSなんかより、ゲームギアだろうがっ!!。ガイアスペシャル! シャイニングフォース!」

※シャイニングフォースシリーズ=セガの名作RPG※

 ガイアという男性が呪文を唱えると馬車の外から、閃光が見えてきます。その眩しさは直視できないほどであり、ガイアというヒトの放つ魔法が強力であるとわかりました。

「クリス、バーバレラ、今だ!。奴らをブン殴ってやれ!」

「ガイアのせいで、僕たちの目がチカチカしてるのに……」

「なにがシャイニングフォースだよ! セガマニア!」

 ドゴッ ドゴッ ドゴッ ドゴッと物理攻撃する音が聞こえてくると、悪党たちは瞬く間に気絶しました。どうやら私たちは、当時、騎士団長だったロアが新たな仲間を率いて助けに来てくれたようです。

「姫様、ご無事ですか?。それにリアーナ王女と召使の子も」

「ええ、私は無事よ。ありがとう……ロア」

 私はさきにロアの手に支えられ、馬車の外へ出ることができました。残る2人の親友も、翡翠色の髪をした男性とヴァンパイアの女性の手により解放されたのです。
 ロアとともに助けてくれた大人たちは頼もしくて、子どもたちに温厚な性格を持って接してくれます。

この作品にはライセンスが付与されていません。この作品を複製・頒布したいときは、作者に連絡して許諾を得て下さい。

G clef Link 姫様へのカラメーラ・ドルチェ9

次話
https://piapro.jp/t/DemP

やっぱりピアプロさんとSEGAさんの絆は深いですからね。
自分もセガ愛好家として、セガさんへの愛を伝えたいです。

閲覧数:121

投稿日:2020/02/08 19:32:19

文字数:2,008文字

カテゴリ:小説

クリップボードにコピーしました