「はぁ・・・」
リンは重い足取りで自分の部屋へ向かった。
保健室を出た頃にはもう陽は沈みかけていた。
「あ!リンちゃんおかえりなさい!!」
「ただいま・・・」
同じ部屋の初音ミクが、二段ベッドの上でスナック菓子を食べていた。
ミクはスナック菓子の油で汚れた指を服に拭うと、リンに一枚の紙を差し出した。
「リンちゃん、これ見た?大変なことになってるけど」
「へ?」
リンは紙を受け取るなり、唖然とした。
「な、何これ・・・!!」
「だよねー。どっかの変人が廊下のあちこちにばらまいて、今みんな騒いでるの」
その紙には、ゴシック体の文字ででかでかと
『鏡音リンと結婚するのは私です』
と書かれていた。
「リンちゃん結婚するのー?でも、14歳だからあと2年待たなきゃ、ミクはだめだと思うなー」
「するわけないじゃない!!」
リンは紙をびりびりと破いて床に捨て、廊下に出る。
「・・・何なのよ、これ!!」
廊下中にさっきと同じ内容の紙が貼られてあり、他の学生はリンを見つけるとひそひそと話しはじめた。
(保健室からの帰りには無かったのに・・・!!)
先程リンが保健室を出て部屋に入るまではなかったのに、廊下だけでなく、教室や窓、机や椅子まで白い紙で埋め尽くされていた。
(誰かのいたずら!?)
リンが教室に張られた紙を乱暴に破り捨てていると、教室のドアがガラッと開いた。
「どういう事だよ、これ!!」
ドアを開けた少年・レンは紙を両手に握り締め、リンを怒れた表情で睨みつけていた。
「分かんない・・・」
「お前、誰かと付き合ってんのかよ?」
表情を変えずにレンが聞くと、リンは首を大きく横に振った。
「そんなわけないじゃない!」
「じゃあ誰がこんなことしてんだよ!」
「知らないよ!!」
「知らないって、お前―」
『みなさんこんにちは』
レンの言葉を、不気味な放送がさえぎった。
「何・・・?」
「放送か?」
放送の声は、ボイスチェンジャーでも使ったのか、低くくぐもった声だった。
『この学園中に紙をばらまいたのは私です。驚かせてすみません』
「んだと!?」
レンは放送が聞こえる上に向かって叫んだ。
その声が聞こえているはずも無いのに、放送の声はふっと笑いを零した。
『鏡音リンと結婚するのは無論、私です。私は鏡音リンを愛している。彼女がまだ私の存在に気づいていないとしても、私は彼女を想いつづける。この想いは彼女に届くと私は信じている。女神のように優しい彼女はきっと私の想いに気づいてくれるはずだ』
「・・・!?」
この声の持ち主は誰なんだ。
リンは底知れぬ恐怖を覚えた。
『私は・・・そう信じていたいのだ。しかし、彼女が私の想いに気がついてくれることに確信を持てなくなってしまった。彼女が男と一つになっているところを、私は見てしまったのだ』
「やめて・・・」
『背が高くて男らしくて、彼女を幸せにできる様な男だったら私は納得ができた。しかし、その男は彼女の双子の弟だった』
「やめてよぉ!!」
リンの悲痛な叫びなどおかまいなしに、放送は続く。
『あんなごぼうのような手足をした男に彼女は守れない。しかも、血の繋がった双子が愛し合ったところで何になる?シスコンブラコンもいいところだ、気色悪いにも程がある。そうは思わないか、諸君』
廊下からざわざわと声が聞こえた。
『私は憎むべき鏡音レンと、今夜12時に決着をつけようと思う。どちらが彼女にふさわしいのか。この決闘を見たい輩は、体育館に集合せよ』
『鏡音レン』
名前を呼ばれ、レンはぴくっと反応した。
『逃げたければ逃げればいい。ただし彼女は私が貰う。いいな』
レンが有無を言う暇も無く、放送はぶちっと音をたてて切れた。
今は、夜の7時。
「・・・リン」
レンは、リンを抱きしめた。
「レ、レン?」
「愛してる」
「・・・」
「誰にも渡さない。傷つけない」
「・・・うん」
リンはレンの首に手を回した。
そのまま二人は長い口付けを交わす。
「・・・好きだよ」
口付けが解け、レンはリンを再び強く抱きしめた。
「あたしも、大好き・・・」
リンも強く、レンを抱きしめた。
―レンが好き
リンはそう強く思った。
教室のドアの向こう側で、『誰か』が吐き気に耐えながら苦しそうに悶えていた。







ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

メイド・流華のはなし。【5】

遅れて本当にすみません!ふみゅれす(´▽`*)
すんごい久しぶりですね・・・あわわ;;
関係ないんですけど、授業で『江戸といったら何を連想するか』というのがあって、私『花魁(おいらん)』って言ったんですよ。
そしたら男子に「花魁w」って笑われて、何よぅ・・・とか思ったら、その男子が『吉原!』とか言って・・・!
私、花魁ってのは今で言う舞妓さんみたいな踊る人、芸者みたいな人だと思ってたんです・・・
先生が「遊郭」とか言って。え!?みたいな(´・ω・`)
親から売られた人~とか、何とか先生は言ってたんですけど、最後に『吉原だの花魁だのあなたたち・・・!』って言われて・・・↓
違うんだ先生!俺はそんなつもりじゃなかったんだ先生ー!
・・・ときすでに遅しとはこういうことですね。
全然関係ない話ですみませんでした(゜ω゜;)

閲覧数:317

投稿日:2011/01/29 22:18:19

文字数:1,771文字

カテゴリ:その他

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  • 咲丸あさ

    咲丸あさ

    ご意見・ご感想

    お久しぶりですm(_ _)m
    待ってましたwwww

    花魁ですか~…でも麗しいイメージがありますよね(笑)
    ルカとか似合いそうです…o(^p^)o
    失礼しましたoyz…

    2011/01/29 22:32:47

    • どーぱみんチキン

      どーぱみんチキン

      お久しぶりだす(´▽`*)
      全然更新できてなくてすみません!!;;
      うちの祖母の叔母さん?伯母さん?だかが花魁だったって聞いていたので発言したんですが・・・
      祖母は今でも「今みたいに化粧道具がそろってたらもっと綺麗になれただろう」って言ってます
      ルカの花魁も、きっときれいでしょうね?(´▽`*)

      2011/02/06 18:57:56

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