いったいどうしたら、家に帰れるのかな…
時間は止まり、何度も同じ『夜』を繰り返してきた。
同じことを何回も繰り返した。
それこそ、気が狂いそうなほどに。
どうしたら、狂った『夜』が終わるのか。
私も、皆も考えた。
そして、この舞台を終わらせるために、沢山のことを試してみた。
だけど…必ず、時間が巻き戻された。
もう、繰り返すのは嫌だ。
だけどこの夜は、『誰か』が続ける拍手が止むまで、終わることはない。
<<Twilight ∞ nighT>>
世界が、空間が歪む。
そして気づけば、私は森の中にいた。
真っ暗で、不気味な森に。
あぁ、今回も駄目だったのか。
そしていつものように、物語の入り口に戻された。
なるほど、今回の「爆弾作って爆発させてみる」作戦も駄目だったと。
了解です。
まぁとりあえず、私が館に行かないと何も起こらないからね。
いつものように壊れかけた扉を叩く。
「誰か…!誰かいませんか~?」
ちなみに何回も同じ台詞を言うのは面倒なので、今回は微妙に台詞を変えてみました。
このまま歌っちゃおうかなー。
「ちゃらっちゃっちゃ、ウ~ルラララ~ホエノ~オォ~」
「……何の歌?」
あ、扉開いた。
そしていつものように執事が出てきた。
「いや、なんか歌ってみようかなーと?」
「でもさ、『ホエノ~』はわかんないから。せめてラララとかで」
「わかった。『次』があったらそうする」
「うん。じゃあ、ちゃんとやろうね?」
執事は困った顔をしてため息をつくと、次の瞬間には無表情に戻った。
「こんな夜更けに、お一人ですか?」
「はい。道に迷ってしまって…ここってどこですか?」
「いや、森の奥の洋館…ということになっています。噂ぐらいはお聞きになっているのでは?」
「いえ、初耳ですが。噂なんてあるんですか?」
「……いいえ。あなたが知らないのならば、きっと噂なんてないのでしょう。それが良いのですから」
謎の発言。
なんのこっちゃ?
「もー、玄関で立ち話は駄目って何度言ったら……言ってないわね、今言ったばかりだわ♪」
「あ、グミ。丁度良かった、お客様がいらしたぞ」
奥から不機嫌な顔をしたメイドが出てきた。
だけど何かに気づき、何を思ったのか薄笑いを浮かべた。
いや、怖いんですけど。
「ようこそいらっしゃいました。さぁさぁ中へどうぞ、入ってお茶でも召し上がってください♪」
「あ、どうも。お邪魔しま~す…」
私が中に入ると、執事がそっと扉を閉めた。
普通に閉めればいいのに…あ、そういえばちょっと蹴っただけで壊れるほど脆いもんね。
しかも怒られてたから、今度は普通にしようと。なるほど。
「こちらの部屋でお待ちください」
「わかりました」
示された部屋に入ると、すでに人がいた。
開けた扉のすぐ向こうに見えたのは、可愛らしい双子の人形。
凄く嬉しそうに、テンション高めで私を迎えてくれた。
「Welcome!! Let's sinG!! and, Have a Crazy ☆ Join uS!!」
「英語かよ!」
「エ、今ソコツッコミ入レルトコロナノ!?」
「あ、ごめん…いつもより長かったし」
「イヤ、ソウダケド…デモイツモココハ英語デショ??」
少女人形が「ナンデヤネーン」と、私にタスッと右手でツッコミ。
少年人形は私に逆ツッコミを入れてくれた。
「まぁまぁ、リンもレンも落ち着いて…それはともかく、外は暗くてねぇ」
「えぇ、危険すぎるわ。このままだと獣が出るわね」
「け、獣ですか!?」
「ウン、タマニダケドネ。熊ガ多イカナ??」
「何それ初耳!」
「うん、今言ったからね」
奥方とお嬢様も出迎えてくれた。
奥方は扇子を開いて扇いでいた。
……すみません。今冬ですよ。めっちゃこっちに風くるんですけど?
「で…どうします?ご主人」
「そうだね…じゃあこうしよう。朝が来るまで」
「「「「「「「歌って踊って歓迎しましょう!」」」」」」」
おぉ、皆ハモった。
よく「せーの」とか言わないでできますよね。
私には無理ですね、きっと。
「それではさっそく…」
「えぇ、準備を致しましょう♪」
いち早く、執事とメイドが動いた。
私は席に移動させられた。
「よし、じゃあ厨房に行ってきますね♪」
「あ、待ってグミ。お茶は?」
「あ…すみません、今淹れますね…♪」
おぉ、今回はないかと思ったよ。
よかったね、執事がしっかり覚えてて。
一口すする。……うん、やっぱり美味しい。
そういえばこのカップかわいいよね。
「OK!! 今夜限リハ 、皆無礼講」
…ふぅ。
今回は皆、微妙に台詞を変えてるのね。
もう台本が破られちゃってるから、皆無視しちゃってるのね。
いいのかな、こんなので。
舞台のセットから衣装、メイクまで寸分違わず、全て「台本どおり」に。
皆そこは守ってるのね。だけど台詞は守ってないのね!
「準備完了!」
「ワインは飲みますか?あぁ、飲むんですねわかりました」
「あの、いつも言ってるんですが、私は未成年ですよ?」
「いいんですよ別に。じゃないとやってられませんから」
「ヤケ酒みたいに言わないでもらえます?」
どうでもいいけど、この執事ってたまに真面目じゃないよね。
いつも無表情だけど、たまに行動おかしいっていうか。
そういえば初めての舞台のとき、この人入り口の扉蹴破ったんだっけ…
「さぁさぁ皆様、ワインの準備はよろしいですか?」
「OK♪さぁミク様、どうぞ♪」
「え!?は、はぁ…それじゃあ」
「乾杯」
「…さぁ、始めよう。君が主役のCrazy ∞ nighTを」
そして、宴が始まる。
ここまでの流れはいつも通りだ。
あぁ、ワイン美味しいわ。
この『夜』を繰り返しているから何回も飲んでるけど、飽きないねこれ。
今宵、何も間違えることはできない。
例えば瞬きひとつ、ため息ひとつ、足音ひとつでさえ。
歌え、踊れ、そして騒ごう。
『酸い』も『甘い』も、全てを忘れて。
全て完璧すぎて怪しいくらいに演じよう。
皆が望まない、狂った舞台をあなたに届けましょう。
そして…
「じゃあ恒例の飲みコールいきますかぁ!?」
「「「「「「イエーイ!」」」」」」
「じゃあいつものようにミク様で♪」
「了解!じゃあ、いっくわよぉ~」
「ソーレ、イッキ、イッキ」
皆のコールに合わせて一気飲み。
まぁワイングラス一つ分だけど。
さすがにこれ以上やったらやばいもんね!いろいろと!
「おぉ、飲みきった!」
「えっへへへぇ~」
「素晴らしい!」
「…もっと」
「たまらなぁい!」
「…うふ、もっと!」
「シビれるぅ!さすが!さすが!」
「もっと…もっと称えて頂戴!」
酔っ払いの完成である。(私ですが何か)
五臓六腑まで、感動や楽しさの全てが、響いて止まない。
ここは、台本通りに。
「…大丈夫ですか?だいぶ酔っていらっしゃるようですが」
「えへへぇ、だいじょうぶぅ~」
「かなり酔っていますね。お部屋までご案内いたします」
執事が相変わらずの無表情で告げ、部屋まで案内される。
そういえばこの人、コールしてくれなかったな。
仕事してたからかな。
「こちらになります」
「ありがとうぅ」
案内された部屋のドアノブに手をかけ、扉を開ける。
「……今回こそ、終わればいいですね」
執事が言った。
それは独り言だったのだろうか。
だけど、私は返した。
「…そうですね。今回は『Bad EnD』にはしませんよ」
「今回が『Happy EnD』…もしくは『True EnD』であることを、俺は願っていますよ」
「そうですか…今回こそは、そうなるといいですね」
「はい……それでは、おやすみなさいませ」
扉を閉めて部屋に入り、ふかふかのベッドにぽすんと倒れこむ。
本当は酔ってなんかいない。そして…全て、わかっているのだ。
今回も、正しい『EnD』を迎えることなんてできないことを。
だけど、もう戻ることはできない。
舞台の幕は、再び上がった。
さぁ、拍手の準備はよろしいか?
Twilight ∞ nighT【自己解釈】
Crazy ∞ nighTの解釈は挫折したので、そちらは二次創作に変えます。
少し『Bad ∞ End ∞ Night』の解釈(http://piapro.jp/t/zUaL)を混ぜています。
本家様が神でした。
ですが、一人で歌うと息継ぎが難しくて大変ですね。
今回驚いたことは、がくぽがV3だったことです。
あとやっぱり皆可愛くてイケメンですね。
「Twilight ∞ nighT」本家様
http://www.nicovideo.jp/watch/sm20081073
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Seagle0402
ご意見・ご感想
この曲大好きです♪
「ナンデヤネーン」www
双子人形かわいい☆
ブクマさせていただきます!
2013/03/03 14:24:04
ゆるりー
私も大好きです!
このリンちゃんにツッコミをさせたかっただけですw
かわいいですよね!
ありがとうございます!
2013/03/03 19:26:44